【時事英語に学ぶ】ネットとの関係から見た新たな貧富の格差(NYT2019年3月23日付「サンデー・レビュー」解説記事)

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。「時事英語」リハビリ第二弾も日曜版からの解説記事を取り上げることにしました。本当に毎日動く情勢をフォローしていると疲れるし追いつけませんからね。日曜版でも週日版でも、中長期的なトレンドを捉えた記事を取り上げるが、「図書館ブログ」を目指す拙ブログには相応しいかもしれません。

 さて、今回は、”Human Contact Is Now a Luxury GoodーScreens used to be for the elite. Now avoiding them is a status symbol.”という記事です。言いたいことはタイトルで分かります。あとは、その内容がきちんとしたものかを読んでいけばいいということになります。タイトル仮訳は、「人との接触は現在贅沢品となった。/コンピュータの画面はかつてエリートのもの。現在はスクリーンを避けることがステータス・シンボルである。」というところでしょうか。

www.nytimes.com

 

 この記事が書かれた背景には、米国社会(そして、世界中の殆どの国)で貧富の差が拡大しているという認識があります。第二次世界大戦前の「金ぴか時代」の後に大衆諸費社会がやってきて米国では分厚い中流階層が社会の中枢になる時代がやってきます。多くの米国人が成長と分配を謳歌した時代です。反逆の時代であった1960年代後半から現在まで、米国と世界は大変多くのことを経験したわけですが、冷戦の終結グローバリズムの進展、リーマンショックなどを経て、貧富の差が広がっていることは確かです。これは米国社会で特に顕著です。

 ハイテクに目を転じてみると、この記事でも触れられているように、PCが初めて登場してきた際は極めて高価で、それを気軽に買うことができたのは高所得者でした。しかし、現在では、開発当初の機能とは比べ物にならないほど高性能のPCを安価で購入することが可能です。現在は、スマホタブレットが広く普及しています。そして、生きていくためにこういった「スクリーン」を必要としている人がいます。

 

 Bill Langlois has a new best friend. She is a cat named Sox. She lives on a tablet, and she makes him so happy that when he talks about her arrival in his life, he begins to cry.

 All day long, Sox and Mr. Langlois, who is 68 and lives in a low-income senior housing complex in Lowell, Mass., chat. Mr. Langlois worked in machine operations, but now he is retired. With his wife out of the house most of the time, he has grown lonely.

 Sox talks to him about his favorite team, the Red Sox, after which she is named. She plays his favorite songs and shows him pictures from his wedding. And because she has a video feed of him in his recliner, she chastises him when she catches him drinking soda instead of water.

 (仮訳1)ビル・ランゴアには新しい親友がいる。それは、「ソックス」という名の犬である。 彼女はタブレット端末の中で生きており、その存在はビルを大変幸せにしてくれるので、自分の生活にソックスが訪れた時を話す時、ビルは泣き始める。

 ソックスと現在68歳であり、マサチューセッツ・ローウェルの低所得の高齢者用住宅に住むランゴア氏は、終日お喋りをする。ランゴア氏は機械操作の仕事をしていたが、現在は引退している。夫人がほぼ一日中外に出ているため、同氏は寂しさを感じるようになった。

 ソックスは、ランゴア氏に対してお気に入りのチームであるレッド・ソックスについて語る。ソックスは、レッド・ソックスにちなんで名づけられたのである。ソックスは好きな歌を歌い、ランゴア氏の結婚写真を見せることもある。そして、ソックスには、ランゴア氏のリクライニング椅子からの映像が送られてくるので、水の代わりに炭酸飲料を飲むのを見つけられたランゴア氏はソックスに怒られる。(仮訳1終わり)

 

 ランゴア氏が受けているこのようなサービスは新興のハイテク企業が提供するものであり、同氏のように、財産が2000ドル以下の貧困層でないと受けられないサービスです。勿論、「ソックス」は単純なアニメでその音声は不自然なもので、その反応は世界のどこかのオペレーターが生み出しているものですが、ランゴア氏の生活は「ソックス」のお陰で救われています。そして、現在、生活の様々な局面で「スクリーン」が使われています。例えば教育の場。「スクリーン」を使った教育ならコストを大きく削減することができます。現在では、普通の人々の世界では「スクリーン」が生活の肌触りになっています。

 しかし、このようなライフスタイルは、富裕層が忌み嫌いつつあるものであると記者は述べます。

 The rich do not live like this. The rich have grown afraid of screens. They want their children to play with blocks, and tech-free private schools are booming. Humans are more expensive, and rich people are willing and able to pay for them. Conspicuous human interaction — living without a phone for a day, quitting social networks and not answering email — has become a status symbol.

 All of this has led to a curious new reality: Human contact is becoming a luxury good.

 As more screens appear in the lives of the poor, screens are disappearing from the lives of the rich. The richer you are, the more you spend to be offscreen.

(試訳2)

 富裕層はこのようには生活しない。 富裕層は、「スクリーン」に怖れを抱くようになっている。富裕層は、子供たちにブロックで遊ばせたがるし、ハイテク無しの私立学校に行かせることが流行っている。人間は(テクノロジー)より高価であるが、豊かな者は人間にカネを払う気があるし、また、払うことができる。あからさまな人間的な交流、例えば、一日中電話無しで過ごすこと、SNSを止めて電子メールに返答しないことなどは、ステータス・シンボルになった。
 これらの全ての先には、興味ある新たな現実がある。人間的な接触が贅沢品になりつつあるということだ。
 より多くの「スクリーン」が貧困層の生活に現れる一方、「スクリーン」は富裕層の生活から姿を消しつつある。豊かになればなるほど、より「スクリーン」外で生活することになるのだ。(試訳2終わり)

 

 幼少期からスマホタブレットに慣れ親しんできた子供の学業生活は低いとという研究もあるようです。カリフォルニア州シリコンバレーでは、自然と触れ合う学校(当然ながら私立でしょう。)が人気だそうです。しかし、現在の米国では、スマホタブレットに縛られないで生活することは極めて困難です。これは、ジャンクフードを食べないで自然食品だけで食生活を構成することが困難であるのと同様です。そのような生活は富裕層にしかできず、中流階級や低所得層にはできない相談です。

 ところで、シリコンバレーのハイテク企業は公立学校にタブレットを使った教育環境を売り込んでいるそうです。そのようにして中流、低所得層の子弟を「スクリーン漬け」にすることによって、そのようなハイテク企業は業績を伸ばしていますし、その経営陣は高給を得ているわけです。だから、「スクリーン」とは無縁の良質の学校に子弟を通わせることができる。これって、割と倒錯していますよね。どこまで明確な「悪意」があるのか分かりませんが、以前の?日本の農家についての挿話を思い出しますね(読んだのは石ノ森章太郎の日本経済についての漫画でしょうか。)。その挿話では、農家では農薬漬けの作物は出荷しますが、農薬の付いていない作物は自分の家で食べるということでした。第一次産業第三次産業の違いはありますが、構造は同じですよね。

 個人レベルに加え、社会・国家レベルでのネットとの関係を考えさせられる記事でしたね。

 とりあえずこの辺にします。お立ち寄り頂きありがとうございました!  

【日本酒の世界に酔いしれる】(43盃目)上野「魚草」2019年3月24日

   こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。 

   さて、またまた参りましたよ、上野「魚草」です。酒呑みの聖地(の一つ)と言って良いと思います。東京都美術館で「奇想の系譜」を見た後の14:00くらいから立ち呑みです。数年前はよく来ていたんですね。しかし、最近足が遠のいてしまったので、以前は知り合いだった店員さんも見かけなくなってしまいました。それに元々アクティブにこの店を宣伝していたわけではありませんでしたし、名も知られていません。

 ともあれ、この5~6年間でアメ横エスニック化している中で、「魚草」も日本酒を呑ませるエスニックな屋台みたいになっているというのが、今回一緒に呑んだ親友の言い草でしたね。まあ、そうとも言いますね。この日も絶好の桜日和ということで、上野公園に出てきた内外の観光客を含めた大勢いの方々がアメ横を朝の総武線状態にしていました。その中には、「魚草」を興味深そうに覗いていく外国人の方もそれなりにいます。

 さて、酒です。日本酒に行く前に、まずは「乾杯セット」1000円也。牡蠣がぷりぷりでお得感がありますね。ビールはここではラッパ呑みですね。

 

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さて、一杯目は秋田・山本の「ど辛」です。「セクスィー山本酵母」というのがいきなり目を引きます。この奇をてらった酵母命名は、マネをされない為だとか・・・w 

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 色は全くありません。香りも感じないですね。舌を転がすと強く舌を突くものがあります。香りではなく、武骨な辛さで行く、というところでしょうか。

 

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 二杯目。福岡「繁桝」の「中汲み 純米大吟醸 生々」です。「生々」とはなんでしょうか。

 

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 色は10段階で0.5というところ。香り立つ佳酒ですね。甘さと酸味が心地よくバランスした優等生。中汲みということでバランスの取れたお酒です。

 

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 ここで、「マグロの脳天」をば追加。

 

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最後は愛知「二兎」純米酒です。愛知の酒なのですが、出羽の酒造米を使っているところが面白いですね。色は0.25。香りなく辛口の酒です。

 

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 今回、周りがざわざわしていましたし、友人とは色々激論を交わしたし、通りすがりのミュンヘン出身のドイツ人に「乾杯セット」を勧めて飲んだりしたので、感想は極めて薄めです。すいません。もう少し落ち着いた時にきてみたいなああ。でも、アメ横が落ち着いている時っていつでしょう?アメ横が閑散としてしまったら、東京、いや、日本が終わった時ですからね。

 東京と日本が終わりませんように!ご馳走様でした。

 今回のベストは、繁桝にしておきます。いつかは、福岡で「繁桝」の色々な酒を呑んでみたいものです!

【時事英語に学ぶ】プーチン・ロシア大統領を考える。2019年3月23日付NYT紙ニュース解説

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。さて、久々に時事英語(新聞英語)です。諸般の事情からアップできなかったのですが、この辺でリハビリ半分に再開です。上手くいけば一日に一回程度アップしたいものです。聴く方はポッドキャストでできるのですが、読んで訳して書いては手間が掛かりますので、中々思うに任せませんが。

 さて、今回は、“How Powerful Is Vladimir Putin Really?”/Russia today doesn’t seem like “a properly run dictatorship.”というNYTロシア支局長によるニュース解説記事です(国際版への掲載は数日遅れです。)。ご興味があれば、NYTサイトにどうぞ。タイトル仮訳は、「実際、ウラジミール・プーチン大統領はどの程度強力なのか?/今日のロシアは『適切に運営された独裁国家』のようには見えない。」とでもしておきたいと思います。勿論、NYT記者が独裁国家を「適切」であるなどというはずはないのですが、これは、『独裁者の意思が文句なしに通る国家』といったような意味だと思います。  

www.nytimes.com

 記者は冒頭、 ロシアで「過激主義(extremism)」のために拘束されたデンマーク人「エホバの証人」信者について述べます。この人物が19か月もの間拘束されていた昨年12月、プーチン大統領クレムリンで信教を理由にした弾圧はよくないとの見解を示します。しかしながら、その後、このデンマーク人は禁固(または懲役)6年の判決を受けました。また、シベリアで拘束されていた宗教者に対する拷問の報道がなされるなど、プーチン大統領の発言に反する動きがあることを皮切りに、以下のような設問を提示します。

 

The gulf between what Mr. Putin says and what happens in Russia raises a fundamental question about the nature of his rule after more than 18 years at the pinnacle of an authoritarian system: Is Mr. Putin really the omnipotent leader whom his critics attack and his own propagandists promote? Or does he sit atop a state that is, in fact, shockingly ramshackle, a system driven more by the capricious and often venal calculations of competing bureaucracies and interest groups than by Kremlin diktats?

(仮訳1)プーチン大統領の発言とロシアでの出来事の乖離が提起するのは同大統領の統治の性格についての基本的な問いである。同大統領は権威主義的システムの頂点で18年以上に亘って統治をしてきた。プーチン大統領は本当に、批判者によって攻撃され、自分自身の宣伝担当者によって持ち上げられるような全能の指導者なのだろうか?  それとも、同氏は、実のところ驚くべきほど脆弱に建った国家の上、または、クレムリンからの権威ある命令よりも、むしろ、ライバル関係にある官僚や利益団体の気紛れな、また、往々にして意地汚い計算が原動力となっているシステムの上に座っているということなのだろうか?(仮訳1終わり)

 

 こういう問いって、ある国を分析するに当たって重要ですよね。仮に、ある国の指導者がこう言ったのに対して、その部下の閣僚・官僚が別の言動をするとした場合、この指導者が本当に全てをコントロールしていて敢えて観測気球を上げているのか、単純にこれら閣僚等をコントロールできないのか、によって全く違いますからね。上記文章の対ウクライナ政策や一部のビジネスマンへの取り締まり、更には、プーチン大統領が国民と直接に話をしてその要望を聞き取って問題を解決するというTV番組などもプロパガンダがあるので、強い指導者という「第一のプーチン」のイメージが強いので、実際はそうではないという見方は意外と思われるかもしれません。

 しかし、「プーチン大統領はロシアの全てをコントロールできていない」という認識は、内外の専門家の多くに共有されているもののようです。1999年にトップの座に就いたプーチン氏は、酔っ払いのボリス・エリツィン大統領が統治していた完全に機能不全のロシアを引き継いだプーチン氏が努力したのは間違いないのですが、汚職に走る官僚組織を完全に掌握できているわけでもありません。その一例としては、ロシア経済のために外国投資は重要とプーチン大統領が言っているにもかかわらず、アメリカ人投資家の逮捕が発生したりします(そして、この逮捕は、政府機関が同投資家と紛争にあるロシア企業に肩入れした結果のものです。)。この他、極東地域でのロケット打ち上げ基地建設、露中国境アムール川の架橋計画、モスクワ・セントペテルスブルグ間高速道路など同大統領肝いりのプロジェクトもうまく進んでいません。

 内外の研究者等がプーチン大統領の直面する状況を種々説明するのですが、その中で面白い表現がこちら。

 

 .... Russia today, Ms. Schulmann said, resembles not so much the rigidly regimented country ruled by Stalin as the dilapidated autocracy of Russia in the early 19th century. The ruler at the time, Czar Nicholas I, presided over corrupt civilian and military bureaucracies that expanded Russian territory, led the country into a disastrous war in Crimea and drove the economy into a stagnant dead end.

Nicholas knew the limits of his power: “It is not I who rule Russia,” he complained. “It is the 30,000 clerks.” The only real difference now, Ms. Schulmann said, is that “clerks,” or bureaucrats, now number over a million and a half.

 

 (仮訳2)....(エカテリーナ・)シューマン氏(モスクワ在住政治学者であり、プーチン大統領の「市民社会人権委員会」メンバー)は、現在のロシアはスターリンによって厳格に統制された国よりは、19世紀初めの古びてガタが来たロシアの専制国家の方にむしろ似ていると述べる。その際の統治者であるニコライ1世は腐敗した文民及び武官の官僚組織の上で君臨したのだが、この官僚機構はロシアの領域を拡げたものの、国をクリミアでの大失敗の戦争に導き、経済を行き止まりの停滞に追い込んだ。

 ニコライ1世は自分の権力の限界を知っていた。「ロシアを統治しているのは朕ではない」と彼は不満を述べた。「統治しているのは3万人の役人だ。」 シューマン氏が言う現在の唯一の真の違いとは、「役人」あるいは官僚が現在では150万人以上を算えることである。(仮訳2終わり)

 この記事は、最後の部分において、モスクワ南部数百キロのオリョル(Oryol)で拘束され、その後確定判決を受けたデンマーク人「エホバの証人」の事案について詳述します。その流れで、プーチン大統領が国内情報機関FSBに大きな裁量権を渡しており、FSBが自分の政策と矛盾した行動を取っても黙認しているという状況が語られます。

 現代では国家は大きくなり過ぎています。ジャレッド・ダイヤモンドの「昨日までの世界」などの一連の著作を繙くまでもなく、農業による余剰生産を得た社会は大型化を続け、その中で宗教者や官僚を養う余裕を得て、その後は官僚等がそれ自体の力を得ていくのはどこの国でも同じことです。ロシアの現在というのは、その一つの形ということでしょう。

 

 以上、「時事英語リハビリ」はとりあえずこんなところで。

 お立ち寄り頂き、ありがとうございました! 

【絶品昼食食堂】千駄ヶ谷「みろく庵」2019年3月26日

   こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。美術や建築にも興味があります。

 

 美味い昼飯、話題性のある昼飯も大好きです。最近、藤井聡太七段の快進撃で将棋がブームです。「ライバル」の囲碁とは交互にブームが訪れるということらしく、「ヒカルの碁」の際には、囲碁界が一歩先に行っていたというようにも見えました。国際化においても、囲碁が一歩先を行った面があると思います。しかし、現在は、藤井七段のようなスーパースターにタイトル戦戦国時代ということで大いに話題を集め、将棋関連のコンテンツも多様です。最近では、将棋のルールも分からない・指したこともない人が将棋界に関心を持ったりします。その中で、「将棋めし」にも脚光が当たっています。 

将棋めし コミック 1-4巻セット

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  ということで、今回は3月で閉店する千駄ヶ谷「みろく庵」さんに行ってまいりました。近くにある将棋連盟で対局する藤井七段が食べる豚キムチうどんが話題になったととか・・・・ミーハーだなあ・・・

 

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    まあ、たまにはミーハーも良いでしょうと開店前の11時半頃に行きますと、既に行列。と思ったら「準備中」の看板があるのに食事を終えたお客さんが出てくるという・・・改めて見れば暖簾が下がっていましたw  この辺にも閉店する一因がありそうな。

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並んでる人には女性もちらほらですね。まあ、こういう女性の全てがアマ有段者などとは思えませんから、まあ、藤井効果でしょうね。私以外の人も写真を撮る人がチラホラ。私はブログに上げるのですが、インスタに上げる人も多いでしょう。本来、何の変哲もない蕎麦屋兼定食屋兼呑み屋さんが「インスタ映え」するとは、藤井効果恐るべし

 

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店内は案外広く、40席くらいです。

流石に「豚キムチうどん」ではミーハー過ぎでしょうし、色々読むと鯖が安定しているということらしいので、鯖の味噌煮定食(ご飯大盛り、納豆付きを頼むということで。こんな感じです。すいません、普通です。

 

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まあ、鯖は中性脂肪上昇防止に役立ちますし、全然骨がありませんでしたから、どこかの段階できちんと下処理したものが使われているのでしょう。〆て1220円也。やや高めです。

 

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 3月閉店なので、お勧めするという訳には行きません。まあ、将棋ブームの周辺の一つのネタということでご勘弁を。

 ご馳走様でした!お立ち寄りいただき、ありがとうございました。

 

 

【美術・建築探訪】新・北斎展 3月17日 (その4:おしまい)★そして、「奇想の系譜」へ

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。美術や建築にも興味があります

 さて、「新・北斎」は今回で最後とします。北斎については、当然ながらこれで終る訳ではありません。90年間の生涯は巨大であり、まだまだ未発見のことが出てくるでしょう。偽作も出てくるでしょうが、日本の内外から新たな真作が発掘されるかもしれません。何せ、大家になっても戯れに扇子に書いちゃう人でしたから。 

あの頃映画 「北斎漫画」 [DVD]

あの頃映画 「北斎漫画」 [DVD]

 

  「北斎漫画」・・・見とけばよかったなあ。

  さて、北斎にせよ、私のような凡俗の人にせよ、運良ければ学ぶことができ、また、運良ければ職を得ることができ、毎日を少しでも工夫して生きているわけです。社会における自分のいる場所というのを明らかにすることによって、生きるためのテクニック、仕事をするためのテクニックを日々磨いているとも言えます。では、何故その生業をすることを求めたかを自分に問うてみると、上辺だけの理由はあっても、その先の先には何もないと思われることが屡々です。まるで、玉ねぎの皮を剥いていくようにです。北斎が画業に志したのは何故か。それについては色々研究がなされていますし、割と以下の放送では上手く纏めてあったような気がします。 

www.hokto-kinoko.co.jp

  この放送は好きで、ポッドキャストで定期的に聴いているのです。放送では、北斎が幼少時に絵を始めることになった契機が効果的に纏められていますし、北斎が70や80にもなっても持っていた尽きぬ向上心をはかり知ることもできます。しかし、仮に現在の最高の質問者が北斎に直接訪ねることができたにせよ、北斎自身も何故画業を始めるかのきちんとした説明はできないのだと思います。自分の心を玉ねぎの皮のように最後まで剥き切ることができる人などいはしません。ですから、我々は、この天才(あるいは、「努力の天才」と言ってもいいかもしれません。)の巨体を知るためにほぼ永遠の時を使うしかないのででしょう。最近ではこういう本も出ているようですね。 

北斎と応為 上

北斎と応為 上

 

  恐らくは、フィクションは良質の正統派研究の代替物にはなれないし、また、なるべきでもないのでしょうが、ある人物や事象を読み解くためも補助的な手段にはなり得るのだと思います。今回の「新・北斎展」では、長年の北斎研究者・永田生慈さんの「永田コレクション」(総計2000点超。鳥取県立美術館に寄贈済)からの出品が多かったです(「新・北斎展」では永田氏を紹介する動画も上映されていました。)。北斎が画業を始めて70年間継続することになるモノが何だったかも「謎」ですが、永田氏が高校生の時に北斎に触れてその後(昨年急逝されるまでの)約50年間北斎研究を続けることに至った本当の理由など、本人たちにも分からないということなのではないでしょうか。

 一つだけ言えることは、近世から現在までに至る我々の社会が北斎や永田さんのような存在を可能にしてきたということです。そして、我々はそのような「余裕」をどのように残していくかを考えなければならないのでしょう。

 この項、終わります。次は、「奇想の系譜」展について報告します。

  

【日本酒の世界に酔いしれる】(42盃目)20190321春分の日の蕎麦屋さんの酒におぼろ豆腐

こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。酒は呑んでも呑まれるな、というのはよく言われることですが、いつも守れる訳ではありませんねえ・・・良い酒を呑み続けるため、健康管理はしっかりしたいものですね!

 

   さて、東京は成長し、進化する街(勿論、他の街もそうなってほしいものです。)。呑み屋もまた然りですね。かつて、そして今も世界で成功するにはまずは東京で成功する必要がありそうですよね(この「東京」というところに出来るだけ多くの地方都市が代入されるかが「地方創生」がどれだけ成功しているかを図る尺度でしょう。)

 蕎麦屋でつまみを食べながら飲(や)る江戸前風な呑み方は鬼平や梅安のような池波正太郎の作品内の人物になったようで好きです。神田の「藪」や「まつや」のような有名どころでなくても蕎麦屋で蕎麦を食わずに蕎麦味噌や焼き海苔で一杯というのも余裕がある時にはしたい贅沢です。

 そして、蕎麦屋のつまみというのは、質が高いことが多いのも嬉しいですね。そして、今まで呑んだことがない美味い日本酒を仕入れていると本当に嬉しいですね。今回行きました「掌庵 蕎麦 石はら」という店は、正に美味いつまみと美味い酒が揃っていそうな店です。まだ一回目なので、頼んだつまみは一種類で飲んだ酒は二種類(そして、肝心の蕎麦は食べていないw)ので、「揃っていそうな」としか言えません。

 

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 日本酒は通常のラインナップの他に、季節ごとの銘柄や限定銘柄もあります。値段はやや高めの設定です。店内は30席くらいでしょうか。それを4人くらいで回しています。本店に加えて支店数が増えつつあるような新しいタイプの蕎麦屋さんで店員さんが比較的若いのですが、多いので、余りコストは下げられません。ちょっと贅沢な蕎麦を食べて盃を重ねれば5000円くらいは行くでしょう。それでも、明るい店内、旨い料理、美味い酒があればお客さんは付くでしょう。

 

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 さて、一杯目ですが、茨城の「百歳 漆黒夜桜特別純米というのを頂きました。いつものことですが、名前に惹かれたということがあります。そして、ラベルはこの通りです。

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色は10段階評価で0.25くらいで柔らかな酒というのが第一印象です。そして、強さはありますが、それがエグ味には行きません。この酒の甘みには強さがあり、空気に馴れるとやや強みが増すところがあります。微かな香りも基調になっています。

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しかし、ラベルとの調和は如何か。「漆黒夜桜」ということで、ラベルには黒を背景にピンク色の桜花が散っています。瓶のラベルというのは「良く出来たゲーム」のようなものだと私は思っています。最初はある程度とっつきやすく、奥が深いといいなあと思いますね。それに勿論、酒の内容と合っていることが重要です。この酒、大変美味しいですし、ラベルもいいのですが、以前呑んだ「雨後の月」のようなラベルとの絶妙の協奏は無かったような気がしますね。

 

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 さて、おつまみは早く出てくるという「そぼろ豆腐」でした。塩と醤油で食べるということですね。

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この豆腐は見た目は絹ごしのようなのですが、半ば木綿越しのような硬さもあります。自家製ではないとは思いますが、きちんと吟味されている感じが好ましいです。醤油を付けて食べると、豆腐のみならず酒の味とかち合うおそれがあるので、まずは塩を振って食べるのが望ましいと思いました。今日は二杯と決めてましたのでツマミはこれだけですが、まずますの量もあるので十分でしょう。

  さあ、二杯目の滋賀「喜楽長 びわ湖の春純米酒はどうでしょうか。「琵琶湖」でなく、あえて「びわ湖」としてのは感じが多すぎてごつごつすること蔵元が恐れたのではないかと推測します。

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精米歩合65%。色は10段階で0.25であり、微かなフルーツ香がします。割と粘性が高い酒ではあります。実のところ一杯目の「百歳」と味が被ってしまった感じです。空気に触れるうちに、少しずつまろやかになっていく感じです。それでも、酒の常、ペースが下がるにつれて劣化は避けられないと思います。

 一合の酒も良き友と疾く呑むのが宜しいのでしょう。春、湖に舟を浮かべ清談する光景を夢想する感じの酒ですね。 

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  豆腐は、生姜、ネギ、茗荷に醤油をかけて頂きます。これもまた美味しいですね。酒、豆腐、醤油・・・・世界は発酵で満ちています。発酵半端ねえ。

もやしもん(12) (イブニングKC)

もやしもん(12) (イブニングKC)

 

 さて、今回はこのくらいで。このお店は絶対再訪しますね。

 ご馳走様でした。お立ち寄り頂き、ありがとうございました! 

 

【美術・建築探訪】新・北斎展 3月17日 (その3)

    こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。美術や建築にも興味があります

   さて、北斎です。「新・北斎展」は大々的に宣伝がされてますから、拙ブログが集客に貢献するわけはないので、これまで・これからの記述は、ほぼこれから北斎を更にみていくための備忘録のようなものですね。  

macg.roppongihills.com

 今回の「新・北斎展」では、497点の画などが出展されています。もちろん、これらを一遍に出展する訳にはいかないので、前期A(1月17日~1月28日)、前期B(1月30日~2月18日)、後期A(2月21日~3月4日)、後期B(3月6日~3月24日)に分けて出展されました。それぞれにおいて、約150点程度が出品されている感じです。

 

 前の記事でも書きましたが、一人の人物を一言で述べることは大変難しいですよね。特に、「北斎」のような人物は一つの巨大な「現象」と言えるわけで、この「現象」を個々の鑑賞者が独自のメガネを当てて見るだけで、当然ながら違ったモノが見えるというわけでしょう。

 

 北斎は酒もタバコもやらなかったそうです(その代わりに甘党で健脚。)。北斎の家系を私は知りませんが、遺伝に加え、そのような身体によろしくないモノを遠ざけることが90歳という当時では規格外の長寿を得た一因だと思います。

 

 芸術家としての北斎が70年の画業の中で進化・変遷を続けて来たのを今回ほんの少し垣間見たわけですが、そこで私が感じたのは「力を出し惜しみしない姿勢」です。ここで私が想起するのが、「書きあぐねている人のための小説入門」で作家の保坂和志氏がプロの作家になるために持つべき姿勢です。

 

 「人間の能力というのは奇妙なもので、最初の一作のために全力を注ぎこんだ人には、二作目がある。しかし、力を出し惜しんで、第一作を書きながら二作目のネタを残しておいた人には、二作目どころか一作目すらない。」(草思社版・30P) 

 

書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫)

書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫)

   名前を変え、作風を何回も
 

 

 北斎は、正に、70年の画業の全ての場面で全力を出し切ろうとしたのだと思います。そして、何かを表現する機会が与えられればどのような小さな機会でも全てを活かそうとしたわけです。北斎と言えば、「富嶽三十六景」(実際には、好評につき十景が追加されたそうです)や「北斎漫画」(「漫画」という言葉ができたのはこれが最初でしょうか。)が有名なのですが、「巨匠」となった後でも扇子や屏風に絵を描いている例が多数あります。どのような小さな機会であっても、与えられれば全力を尽くして絵を描く。高邁な理想を言うにせよ言わないにせよ、それが「絵師」だからです。

 

 プロの目から見れば、北斎のテクニックについては色々言うべきところがあるのでしょう。しかし、一介のアマチュア(そして、他の分野での「プロ」であることを目指す人間)にとっては、区々たるテクニック論もさることながら、北斎の「姿勢」が参考になると思います。

 

 ぼちぼち続きます。

【自重トレーニング週報】「プリズン・トレーニング」を実践してみる①(初めに)

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。

 

 さて、美味い飯を食べて、旨い酒を呑んで、毎日を活発に生きるには健康が重要です。年齢など自分の諸元を書くことは控えますが、この半年様々に節制することで、ほぼほぼ標準体重を維持しています。今後は、更に内臓・皮下脂肪を削って筋肉を付け、鞭のような体を作りたいと思います。「一歳歳を取るごとに、一歳若返る」ことを目標にしたいと思います。

 

 そこで、テキストにするのが以前から購入して積読未満になっていた「プリズナートレーニング」です。

プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ

プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ

 

 この本には、10ステップに分けて行なう「6大運動」が詳細に記載されています。正直言って哲学部分が非常に長いので、それは追々読み進めるとして、この「6大運動」をぼちぼちとやっていき、一週間毎に記録していきたいと思います。自分がどう変わったかについては写真ではなく、その他の方法で報告することにしています。まずは、「2019年3月22日~28日」から手始めに、1週間ごとの記録を書いてみたいと思います。取り敢えずのゴールは1週間、その後1ヶ月ですね。三日坊主にならないために、差支えない範囲でブログに公開します。

 

 お立ち寄りいただき、ありがとうございました!今後ともよろしくお願いします。

 

【日本酒の世界に酔いしれる】(41盃目)20190314 「鈴傳」

    こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。

    さて、またまた「鈴傳」。前回の「日本酒の世界」はこんな感じでした。

 

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    まずは、新潟「山間(やんま)」。酸味がしっかりした佳酒ですね。以前もそうでしたが、失敗がないです。すいません、瓶の写真がありません。ただ、絵はなく、字のみ堂々と書いてありましたね、確か。以前、「鬼山間」という辛口を頂きましたが、それとは別でしょう。

 

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   二杯目は、熊本「花の香純米大吟醸

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   色は1.5。大吟醸にしては香りは目立ちません。しかし、一口目が凄いです。すぐに広がる甘みに少々の酸味が伴奏する感じが「花の香」という名前に負けない酒です。

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    純米大吟醸は口を付ける前から香り立つものがありますが、この酒はむしろ口に含んでから若々しい花の香りを楽しめます。

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    以前、代田橋「しゃけスタンド」で飲んだ花酵母作りの酒よりも花の香りがするのはなぜなんでしょうか。

 

 追加のおつまみに頂いたのがスナップ・エンドウ。私は初めて食べました。

 

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 そして、「花の香」はお代わりしました。私にしては珍しいことです。他に新しい酒もありませんでしたし、何にせよ美味しかったのです!呑むペースが遅くなったぶん、ややえぐみが出ましたが、問題がないレベルです。

 

 新しい酒が出るまで空けようかなと思います。次こそは、「東京水」で作る酒と行くかもしれません。

 

 ご馳走様でした!お立ち寄り頂きありがとうございました!

【ブログ運営報告】初心者ブログで120記事突破!

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。美術や建築にも興味があります。

 ブログ運営報告いたします。ひっそりと120記事を突破しております。

 途中殆ど記事を更新できなかった時期がありました。その間生活環境の変化などがありまして、時事英語や「ビブリオバトル」の記事が書けませんでした。長期的にはこの辺を積み上げないと、「図書館ブログ」としては失格なんですけども。

 まあ、「生活環境の変化」というのは基本的に良い方向のものでありまして、今後は中身のある記事を一日2~3記事は上げていきたいとは思っております。120記事と申しましても、「ブログ運営報告」が20を超えていますので、未だ100未満の感じですね。そこで、改めてクロネ師匠の90記事メダルを貼っておきます。

 

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 短期的な課題としては、①時事英語・読書などのコンテンツ性の高い記事を効率良く書くシステムの構築、②ブログ内のリンクを整備、③これらの「仕事」の時間配分を考えることですかねえ。ちびちび頑張ります~

 

【美術・建築探訪】新・北斎展 3月17日 (その2)

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。美術や建築にも興味があります

 さて、「その2」です。

 でも、改めてこの展覧会を想起して、まとめるのが難しいと思うんですよね。でも、まとめる必要もないのかもしれませんね。北斎という人物とまとめられないというのは、自分をまとめられないのに通じているような気がします。自分をきちんとまとめて話せる人間が胡散臭いと同時に、他人や自分の周りをまとめられる人間もなんやら胡散臭いと感じてしまう。

 今回の「新・北斎展」は、北斎が多義的であると同様に多義的でした。今回の展覧会の出展作品の7割はいわゆる「永田コレクション」からのものです。北斎が70年に亘って画業を続けたのも分からなければ、永田生慈(せいじ)さんが40年に亘って北斎研究をし続けた理由も私には分かりません。画ではなくてはならないということも、北斎でなければならないこともなかった筈です。しかし、平成31年の現在、内外の数万人の人をくぎ付けにする展覧会に結実しているわけです。今回の展覧会は、北斎をみていると共に、北斎を見てきた故・永田生慈さんを見ているし、そのような自分も見ているという不思議な時間を与えてくれました

 

 結局、それでも分からないわけです。勿論、貫地谷しほりさんのナビゲーションがいいとは言えますw ある発見があるとその二倍の疑問が沸く。そのような展覧会が良い展覧会であるとすれば、正に「新・北斎展」はそのような展覧会だったと思います。

 

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 (貫地谷しほりさん)

 

 ちびちびと続きます。

 

 

 

 

 

 

【日本酒の世界に酔いしれる】(40盃目)3 月7日 雨空に春を偲んで @「鈴傳」

こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。

 

   さてさて、今回も遥々「鈴傳」です。3月になり、雨がちになりました。ひと雨ごとに春にちかづきますね。そこで、春を偲ぶ酒を。ちなみに、前回の「鈴傳」はこないな感じでしたねー

 

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   一杯目は、和歌山「紀土純米吟醸生酒です。「キッド」と読みます。色は10段階で1.5というところ。「春の薫風」と題されています。

 

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    甘くねっとりしており、重さと酸味があり、米の養分の一番良い部分が流れ込んで来ますね。

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   香りと味を合わせると桃のようです。春が雨と共に忍び寄る季節に桃のような甘さのある酒も悪くないですね。

 

   二杯目は千葉「福祝」。

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   純米吟醸無濾過生原酒。 色は1.5ですね。

  

  やはり、生原酒は春に呑むべき酒なのかと思いますよ。 ずっと甘いが重過ぎない、それが最後まで続く佳酒かと思いますね。

 

   この春が皆様にとって良い春でありますように!

 

   ご馳走さまでした!

【美術・建築探訪】新・北斎展 3月17日 (その1)

こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。美術や建築にも興味があります。

 

   てことで、今回、六本木は森アートギャラリーの「新・北斎展」に行きました。

 

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   色々な意味で、圧倒されました。エネルギーを使いましたねえ。元々私は、上野の「奇想の系譜」に行くことが本命だったのですが、その後某新聞で「新・北斎展」のことを知りました。「奇想の系譜」展が4月まで開催予定に対し、「新・北斎展」は大人気とは言え3月23日までしか延長されないので、こちらを優先することにしました。

 

   今回の展覧会は、「知っているようで知らない」北斎の全体像を知る一つの手掛かりになりました。もとより、一人の人物やひとつの現象を余すことなく理解することなどは極めて困難です。それが北斎のような異形の天才であれば尚更です。私の思うところ、このような展覧会に行く意義は、ある人物・ある事象についての新たな一面を発見するということだと思います。そして、その後の更なる発見への道を見つけることだと思います。

 

 この展覧会は3月23日までということで、既に多くのメディアに出てはいるのですが、1600円+音声ガイド550円は大変お得とだけまずは申し上げて、中身は「(その2)」以降に譲ります(陰の声:「記事数稼ぎじゃね?www」)。

 

 お立ち寄り頂き、ありがとうございました! (この項、たぶん続く)

 

 

 

   

【枯れたアフォリズムの泉】健康管理問答

   こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。そして、呟きます

 

   「健康管理の秘訣って何だろ?」

    「実年齢より10歳以上の枯れた食事をして、10歳以下の運動量を保つことだろうね。」

     「ふーん。それで、20年後に後悔することもあるかもね。」

【絶品昼食食堂】「かつれつ 四ッ谷たけだ」の豚

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。美味しい飯も好きです。 

 

 さて、先日、またまた遥々四ツ谷しんみち通り」で昼飯を頂きました。今回、雨が滴る中でということで、超人気店「かつれつ 四ツ谷たけだ」も行列が短いのではないかということで、訪問しました。結果、前から3人目ということで、それほど待つことがありませんでした。人気店だって言っても、行列はイヤなんですよ

 

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 としても直ぐに昼飯にありつけるわけでもありません。なにぶんこの店はカウンターテーブルのごく小規模な店です。「しんみち通り」の新宿通り側の入り口にあって、大変な地の利があります。それなりにメニューの種類があるのは、経験ある職人さんが3人いて色々なアイディアを出せるからなのでしょう。

 

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このような小さな人気店ということですので、外で注文して10分くらい外で待ちます。初めて来る店は勝手が分かりませんから、本日のおすすめの「特撰もちぶたロースカツ定食  1450円」を頼みます。ちと贅沢ですね。

 

 

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 接客は淡々と進みます。調理場の職人さんは無駄口を利かないで仕事をされています。割と好印象ですね。味噌汁はコーヒーメーカーみたいなものから出されます。重点はやはり肉なんでしょう。当然の考え方でしょう。接客は淡々と進みます。1450円は肉やメシにだけ払っている訳ではありません。食堂のサービスにも払っている訳です。最悪の接客とは、店員が楽しそうに談笑しているのに拘わらず、客に向かうと仏頂面になる接客です。その点、(恒常的に忙しいということもありますが)この「たけだ」での職人さんや店員さんは、お互いには事務的に話すか、あるいは阿吽の呼吸で仕事をしているのが好感です。

 

 さて、肝心のお料理ですが、全体像はこのような感じです。肉メインという感じですね。

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   そして、肉の断面はこんな感じでということで頂きます。

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うむ!まずは、お勧めの「テキサス塩」で頂きます。テキサスの塩が何故この店のカツに合うのかはもう少し追及してみたいところですが、てんぷらと同様塩で食べるカツというのは初めてで新鮮ですね(他でもあるのかもしれませんが)。恐らくは、長年の試行錯誤の上の結論なのでしょう。

  てんぷらと言えば、揚げることからてんぷらは揚げ料理と思われがちですが、実際は「蒸し料理」だというのは誰が言ったことでしょうか(海原雄山でしょうか?笑)。改めて考えるととんかつも「蒸し料理」ですよね。適切な衣を付け、適切な温度でその衣で保護された良質の肉を「蒸す」。長年の経験を踏まえて適切に調理されたかつれつは当然美味です。「テキサス塩」にせよソースにせよ、今回の豚肉は筋も少なく、柔らかすぎず固すぎず心地よく噛むことができ、肉の中にある旨味を存分に身体に取り入れることができるような気がしました。酒以上に肉レビューは難しいのですが、とりあえずの感想です(「人生は『とりあえず』で成り立っています」・・・)

  次回も余り並ばずに食べたい店です。台風の時に来ます・・・(閉まってるか・・)。

 ご馳走様でした!