【時事英語に学ぶ】(その4)マクロン仏大統領の苦境

こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。

 

今回は、フランスのマクロン大統領に関する記事です。タイトルがやや違いますが、引用部分は間違いない筈です。

 

https://www.google.co.jp/amp/s/www.nytimes.com/2018/12/06/opinion/macron-yellow-vest-protests.amp.html

 

本記事は、黄色いベストによる広範な抗議活動に苦しむマクロン大統領を取り上げたものです。

 

A moment of reckoning for Macron(20181208-09 NYT P1 by Sylvie Kauffmann)

“… By then, President Macron may have been thinking that he could, indeedwalk on water.

Unfortunately, nobody can ---- not even him. His vertical way of exercising power --- some call it Jupiterian others monarchical --- became more and more of  a problem; his being surrounded by a small team of technocrats; the contempt he seemed to hold for people not lucky enough to be as successful as he was; his lack of knowledge of the local olitical terrain because he had never been elected before. The combination left people feeling that their president was out of touch.

 

マクロン大統領が当選、就任した際には、割と万能感があったようです。その際には、自他共に、その後は、何でもできるという感じだった訳です。その感じは、「水の上も歩ける」というものだったということです。この表現は新約聖書からのものです。そして、映画では、「チャンス」のラストシーンが著名です。

 

 

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   「水の上を歩く」というのは、神に匹敵する奇跡を起こせるということです。マクロン大統領は、構造改革が遅れたフランス経済を立て直して同国をEUの強力な軸にすることが可能であると思われた訳です。

 

   しかし、そのような奇跡は誰にも起こせません。マクロン大統領は、一回で選出された訳ではなく、マリーヌ・ルペンとの決戦投票の末に勝利したに過ぎません。コアになる支持層の多くは都市在住、高学歴、国際的な視点を有する人達だと言われています。

 

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    これらのコア支持層に加えて大統領選決戦投票でマクロン候補に投票したのは、ルペンよりはマシと考えた人達であり、消極的マクロン支持者です。このような消極的支持者の多くは、コア支持層とは真逆の属性を有する人が多いと思われるわけです。これらの人達にとっては、自分達にすぐに害はない富裕層優遇の税制改正はともかく、地球温暖化対策の為の燃料値上げは我慢がならないということですね。パリのエリートと違って給料が切り下げられて、マトモな公共交通機関もない地方の庶民にとっては、ガソリンを含む燃料値上げは大きな痛手ですよね。

 

 

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で、こうなりました。この記事の引用部分では、①上から目線の統治姿勢、②エリート側近体制、③マクロン大統領の公職経験欠如が組み合わさって、一般国民から遊離していると見られてしまったとしています。

 

   忍従を美徳とする日本人と違って主張や抗議を美徳とするフランス人は統治が難しい人達です。マクロン大統領の苦境はまだ続くのでしょう。