【たった一人のビブリオバトル】「11の国のアメリカ史」(その3)★日本語版への序文

   こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。

 

「11の国のアメリカ史」の「日本語版への序文」についての雑記です。

 

 

11の国のアメリカ史――分断と相克の400年(上)

11の国のアメリカ史――分断と相克の400年(上)

 

 

 

 1.日本語版への序文

   (1)本書が上梓されたのは2011年のことです。それから序文を書くまでの米国政治における最大の出来事は、ドナルド・トランプ氏が大統領に選出されたことです。2012年までの大統領選挙ついて筆者は、(筆者がこれから詳述する)米国内のネーション間、あるいはネーション連合間の争いであり、争いからどのような選挙戦や結果になるかは充分に予測できるといった意味のことを述べています筆者はいわゆる「レッド・ステート」(共和党支持多数の州。深南部など。)と「ブルー・ステート」(民主党支持多数の州。北東部等)を超えた米国内の郡を含む「ネーション」という概念で米国社会政治を捉えています今回、トランプ氏が共和党候補としては型破りな選挙綱領で戦った(=「自由放任主義社会民主主義という対立からすれば、ニクソン以来トランプは最も共同体主義的(コミュタリアン。引用者注:本書では傍点)な共和党候補者であった。」)ことから、筆者の分析では、その選挙綱領のお陰で「共同主義的な傾向」有するネーションでの得票を増やしたことがトランプ辛勝(一般投票数でヒラリー・クリントンに負けたものの、選挙人数で勝利)の一因だとしま。「トランプ革命」 については歴史の審判を待つ必要があると思いますし、ロシアからの「選挙介入」疑惑(ロシア政府と繋がりのあるロシア企業が米国のSNSに影響力を行使したのではないかという疑惑)もあります。2020年の大統領選でトランプ大統領陣営(順当に行けば、政権党の候補は現職大統領がなります。)民主党陣営がどのような選挙戦を戦うのか、その戦い振りを理解する一つの補助線として本書は有益だと思います。

   (2)筆者はこの序文をメイン州(の恐らくは自宅)で書いています。メイン州はいわゆる「ヤンキーダム」に属する州です(スッポリ入っています。)。仮に、筆者(及び筆者の祖先・家族)が同州に長く居住して馴染んでいるとすれば、筆者は「ヤンキーダム」の社会・政治的傾向に従う人物であるのでしょう。そうであれば、もし、ふらふらと2016年選挙でトランプ候補に投票したかもしれませんが、南部的な大統領であるアンドリュー・ジャクソンを敬愛するトランプ大統領には違和感を有することでしょう(なお、アンドリュー・ジャクソン云々は本書内の記述ではなく、ニューヨーク・タイムズ紙記事にあったものです。)。

(3)三たび和訳について(大事なことなので三回言います。)。原書を読まないと的確な批判はできないと思いますし、この大著を数年で訳された共訳者には敬意を表します。ただ、どうしても、日本語に現在存在していない概念を訳出する際ぎこちない訳になってしまいます。上記(1)で紹介したように、この「序文」で「共同体主義的」という訳語の横に「コミュタリアン」というルビを付けています。本書のような本を手に取る読者には英語及び/又は米国についてのある程度の知識があることを前提にすれば、本書の他の部分においても現在流通している日本語では違和感が多少なりともある新たな概念を訳出する際には同様のルビ付けを多めにすれば読者の理解を助けたのではないかと思います。繰り返しますが、勿論、訳者の皆様がこの有益な本を苦労して訳出されたことには心からの敬意を表します将来、この雑魚ブログ[笑]がもしかしたら本書関係者の目に触れる可能性があることを勘案しまして、改めて付言するものです。)。

 

   .  序章

この章では、筆者が「11のネーション」の概要を説明します。八割方なりとも上下巻を読了した後に再読すれ    ば、理解が深まることかと思います。

 

      続きます。