【時事英語に学ぶ】トランプ大統領の「サンドバッグ」探し 2019年2月14日

 またまた米国政治です。

    2019年2月14日付ニューヨークタイムズ紙国際版の解説記事です。やや旧聞に属しますが、今後少なくとも大統領選までは話題になるトランプ氏の性格を知る上で有益です。また、大統領府と連邦議会との関係を考える上でも有益な「資産記事」になり得る記事だと思います。

    米国政治では、議会民主・共和両党の妥協案を不満として国家非常事態宣言の声明を行ない、それを違憲とする訴訟が主に民主党支持州から提起されています。この動きに対する報復か、カリフォルニア州高速鉄道への連邦政府の財政支援を差し止めるかもしれないと述べたやに報じられています。

 

President looks for a new punching bag/Pelosi's strong showing  spares her from Trump's personal attack strategy (NYT International Editon 2019/02/14 P5 WASHINGTON HOUSE MEMO by Annie Karni)

 

     トランプ大統領ツイッターでの「口撃」は有名です。ある党や政治家からのライバルへの「レッテル貼り」は、どのような国・時代でも有効ですよね。 米国での有名な事例は、二期目を目指していたブッシュ(父)大統領が「弱虫」(wimp)というレッテル貼りをメディアを中心にされたことから大きなダメージを負ったというのがありました。何かのレッテルが貼り付く(stick)か貼り付かないかが大きなポイントとなるようです。ブッシュ(父)大統領は、「Read my lips. No new taxes.」という増税をしないとの公約を破ったこともあり、ビル・クリントン氏に敗れ去りました。

    嫌なレッテルを貼られるのはトランプ大統領もイヤなわけで、メキシコ国境の壁について妥協をしそうとした昨年(2018年)12月、自分の核心的な支持層が聴取している(とされる)ラジオのトークショーホストから公約違反を責められて、「最悪の負け犬」とレッテル貼りされそうになりました。これを受けて、トランプ大統領は一転して強硬路線に転じて、史上最長の連邦政府機能の一時閉鎖に突き進んだわけです。ある意味極めて分かりやすいですね。

 

    この話題は色々な方向性に展開しそうでキリがありませんのでこの辺にして、タイトル仮訳です。「大統領が探す新たなサンドバッグ/ペロシ下院議長は強さを見せ、トランプ大統領の個人攻撃戦略の対象から免れる」くらいでしょうか。以前の記事にもあったのですが、

 

   ★記事全文の貼り付け・リンク張りは行ないません。ご興味のある方は個別にNYTサイトにどうぞ。

 

     この記事では、トランプ大統領の攻撃がペロシ下院議長に効かないこと、エミー・クロブチャー上院議員にも効かないことが述べられます。その後、民主・共和両党の選挙戦略関係者から、トランプ「口撃」戦略の有効性について語られます。

 

     Democratic operatives predicted that Mr. Trump's attempts to demonize his political opponents won't work when it' s not one by one.

   "He's better with a foil, but unless he can home in on one or two people, it ends up being less than the sum of its parts," said Brian Falcon, a former press secretary for Mrs. Clinton's 2016 presidential campaign. "If he' s scattershot weigning in on everyone who announces a presidential campaign, it's not going to have the intended effect."

    Mr. Trump's allies depisagree. "The Democratic field is both undefined and starting out with positions on the far left," said Raj Shah, a former White House spokesman who is now advising Mr. Trump's 2020 campaign. "Raising the profile of these out-of-touch positons and their controversies plays to thr president's advantage."

(試訳) 民主党の関係者が予測するのは、トランプ大統領が政敵を悪者扱いにする試みは、一対一でないと上手くいかないということだ。「トランプ大統領は、引き立て役を作るのが巧い。しかし、一人か二人を標的としない限り、全体的な効果に乏しい」と(ヒラリー・)クリントンの2016年大統領選挙運動の報道担当官だったブライアン・ファルコンは言う。「トランプ大統領が大統領選に出馬するすべての政治家を全て攻撃するという散漫なことをすれば、それは意図された効果を生まないだろう。」

 トランプ大統領陣営関係者はこれに同意しない。「民主党陣営は、上手く定義付けられておらず、また、極左の立場で(選挙運動が)始まっている」とトランプ氏の2020年選挙運動顧問である元ホワイトハウス報道官のラジ・シャハは言う。「そのような(民主党候補者の)国民世論から遊離した立場と問題点を大きく取り上げることは大統領の有利に働こう。」(試訳終わり)

 

 以前取り上げた記事にあるように、トランプ大統領ペロシ下院議長を苦手としています。ですから、民主党候補の中で、ウォーレン上院議長がインディアン系の血が入っていると誤った発言をした際には「ポカホンタス」と言ったり、カマラ・ハリス上院議員の選挙運動を「涙の旅」になぞらえたりといったことをしています。トランプ選挙運動のスタッフにとっては、  提案する標的を攻撃しない大統領の行動に困っているようですが、「社会主義」云々は効果が出るかもしれないという感じのようです。

 

 民主党陣営ではバーニー・サンダース上院議員バーモント州)が出馬を表明するとともに、ジョー・バイデン前副大統領が出馬を検討しているという状況です。その中で、トランプ大統領がその「口撃」をどのように効果的に使うかが一つの注目点になりそうです。

 

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 お立ち寄りいただき、ありがとうございました。