【時事英語に学ぶ】アメリカのイラン制裁効いてる!NYT紙オピニオン2019年3月30日

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。時事英語からも学びます

 さて、今回は久々に、ニューヨーク・タイムズ紙常連コラムニストのブレット・スティーブンス氏のオピニオンを取り上げます。”Foreign Policy Fiasco That Wasn’t /Withdrawing from the Iran nuclear deal has paid dividends.”を取り上げます。タイトル試訳は、「実は外交政策の失敗ではなかった。/イラン核合意からの離脱で得られた成果」くらいにしておきます。 

www.nytimes.com

 

 同氏のオピニオンを取り上げるのは相当久し振りで、以下の記事以来ですね。

 

upanddown.hatenablog.jp

 NYT紙の常連コラムニストは色々いますが、多くは反トランプ・反共和党です。勿論、それはそうなるだけの理由はあるのですが。従って、トム・フリードマンポール・クルーグマンなどと名前を聴けば、読まなくても反トランプと分かります。これらの論客が根拠なしに反トランプだという訳ではないのですが、今回の「ロシア・ゲート」 不発を見れば、脊髄的反トランプも如何なものかと思いますので、何回かこれらのコラムニストはパスしてました。

 党派性の強い反トランプ論者に掛れば、トランプの外交政策全般が最悪のものとみなされるわけで、典型は以前取り上げたこのオピニオンでしょう。 

upanddown.hatenablog.jp

  勿論、スティーブンス氏もトランプ大統領の知性も含め否定的なのですが、チームとしてのトランプ政権の政策は是々非々で評価するという態度のように見えます。トランプ政権のイラン制裁についての記事は、今までと趣向を変えて、結論部分から見ていきましょう。米国人読者のみを意識しているわけではないのかもしれませんが、比較的平易な言葉使いで、重要な部分は繰り返しています。

  Non-nuclear states that sponsor terrorism and subscribe to millenarian ideologies should never have access to any part of the nuclear fuel cycle, ever. Any U.S. administration that abdicates the responsibility to do everything it can to prevent such access effectively renounces America’s status as a superpower as well.

  Iran’s G.D.P. is roughly equivalent to that of the greater Boston area, with 17 times the population. The regime may be a force to be reckoned with in the Middle East. But it is hardly a giant on the world stage, immune to any form of economic pressure.

  The Trump administration has succeeded in dramatically raising the costs to Iran for its sinister behavior, at no cost to the United States or our allies. That’s the definition of a foreign-policy achievement. It’s time to move the needle up again. The longer Hezbollah fighters go unpaid, or the Assad regime unaided, the better off the people of the Middle East will be.

(試訳)

  テロを支援し、終末論的なイデオロギーを信奉している非核兵器国は、決して、絶対に核燃料サイクルの如何なる部分へのアクセスも得るべきではない。どのような米国の政権であっても、かかるアクセスを効果的に防ぐためにできる限りのことを行うという責任を放り出す政権は、超大国としての米国の地位も放棄しているものだ。.

  イランの国内総生産は、ざっと見積もって拡大ボストン地域と同額だが、人口は17倍である。イランの体制は、中東では注目すべき勢力かもしれない。しかし、世界という舞台では巨人というにはほど遠く、いかなる形での経済的圧力に抗することがでできるとは言い難い。.

  トランプ政権は、悪意ある行動を取るイランにとってのコストを劇的に引き上げることに成功した。それも、米国や同盟国には全くのコスト無しである。これは、外交政策で何かを達成したことを意味する。現在は、経済政策の針を引き上げるときである。 ヒズボラ兵士の給料が払われず、あるいは、シリア・アサド政権がイランによって支援されない期間が長く続くほど、中東諸国の人々の状況はより良いものとなる。.

              (試訳終わり。試訳部分を含めて太字は引用者による)

 

  英国、フランス、ドイツのことを考えれば、同盟国がコストを支払わなかったかどうかは議論があるところかとは思います。我が国も、エネルギー多様化の観点からは、やや難しい立場にあると思います。この記事をどう読むかについては色々な観点があると思います。日本国民としては、どうしても対北朝鮮政策を想起します。「イラン国内総生産は、ざっと見積もって拡大ボストン地域と同額だが、人口は17倍である。イランの体制は、中東では注目すべき勢力かもしれない。しかし、世界という舞台では巨人というにはほど遠く、いかなる形での経済的圧力に抗することがでできるとは言い難い。.」を然るべく代替すれば、北朝鮮のことを言っているようです。

  米国には、イラン革命に続く在テヘラン米国大使館事件という歴史があります。また、トランプ大統領には、再選に大きな影響があるロビーを米国内で有しているイスラエルの不倶戴天の敵であるイランは、やはり、不倶戴天の敵です。そして、イランは、米国が重視する(シェールガス産出によって中東への依存度が下がったにせよ重視している)中東において、イラク、シリア支援、テロ組織支援を実際に実施しています。このように、①歴史的経緯、②内政上の理由、③国家利益への影響があれば、米国の外交政策は動くということです。

 逆に言えば、これらの要因がないと、米国(トランプ大統領)は動かないということなのでしょう。とすれば、我が国としては、北朝鮮がイランと同様に扱われるように様々な知恵を絞り、汗を搔かなくてはいけないということなのでしょう。

 今後、補足するかもしれませんが、取り敢えずこのくらいにします。

 お立ち寄り頂き、ありがとうございました!