【時事英語に学ぶ】(その16)共和党重鎮のトランプ大統領への反旗?
こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。
“A challenge to Trump’s world view: His party”/Republican establishment more willing to criticize president’s foreign policies (NTY International Edition 20190131 P1[News Analysis] by Peter Barker)
以前も取り上げたピーター・バーカー記者によるニュース分析記事です。2019年1月31日付NYT国際版1面です。
(記事タイトル試訳)「トランプ大統領の世界観への挑戦が共和党から」/共和党エスタブリシュメントは大統領の外交政策への批判により積極的に)
★記事全文や記事リンクの貼り付けは行いません。ご興味がある方は、NYTサイトにどうぞ。
「アメリカ政治をぶっ潰す!」(正確な引用ではありませんw)、「国境に壁を!」などと呼号してトランプ大統領は政権を取ったわけです。それに、トランプ氏が孤立主義的な考え方を持っていることも明らかでした。それでも、そのようなことを言ったのは当選するためのレトリックで、実際に政権を運営する段になると、エスタブリッシュメントの意見を聞いて外交・内政を取り仕切っていくのだろうと内外の識者は考えてきたに違いません。しかし、2年後の選挙を見据えて、トランプ大統領と歩調を合わせてきた共和党指導にも違った動きが出てきたというのがこの記事の主旨です。
The growing discontent among Republican national security hawks was most evident on Tuesday when Senator Mitch McConnel of Kentucky,the majority leader and perhaps Mr. Trump’s most important partner in Congress, effectively rebuked the president by introducing a measure denouncing “a precipitous withdrawal” of American troops from Syria and Afghanistan.
The senator’s repudiation came on the same day that Mr. Trump’s intelligence chiefs gave Congress a radically different assessment of international threats facing the United States from the president’s own. They warned about fresh Russian efforts to interfere in American elections predicted that North Korea would never agree to give up its nuclear weapons and made clear that the Islamic State is still plotting attacks around the world. They made no mention of Mr. Trump’s top security priority of building a wall along the South-western border.
(試訳1)
安全保障面での共和党タカ派は不満を強めていることが最も明らかになったのはこの火曜日のことである。この日、上院多数派リーダーであり、恐らくはトランプ大統領の議会での最重要のパートナーであるミッチ・マコーネル上院議員(ケンタッキー州)は、シリアとアフガニスタンからの米軍の「性急な撤退」な撤退を難ずる措置を提案することで、大統領に対して効果的に反駁したのである。
マコーネル上院議員の(トランプ大統領の安全保障政策への)反駁は、トランプ大統領の情報機関トップが議会において、米国が直面する国際的な脅威について大統領のものとは激しく異なる評価を明らかにしたのと同じ日になされた。情報機関のトップは、米国の選挙に介入しようとするロシアの新たな企てについて警告し、北朝鮮は核兵器の廃棄には決して同意しないだろうと予測し、また、イスラム国はいまだに世界中で攻撃を計画しているとの見方を明らかにした。これら情報機関関係者は、トランプ大統領が安全保障上の最優先事項としている南西地方国境での壁の建設に言及することはなかった。(試訳1終わり)
(英語の話。measureを措置と訳したのは我ながら微妙。この措置の提案は法的拘束力もないものですから、最高でも何らかの決議やマコーネル議員の自身の見解表明程度のことなのでしょう。)
情報機関関係者の議会での発言については米国のニュースでは、イラン関係について核合意の遵守云々についてトランプ大統領がツイートで「学校に戻れ」などと罵倒しているのが話題になっていますね。同大統領は、イランについて情報関係者が自分ほど強硬で無いことが不満なようです。しかし、大統領の見解に合わせるように情勢判断をしていたら、情報機関の存在意義がなくなってしまうというものです。
この他にも、ロシアの有力企業家への制裁緩和やNATOからの離脱可能性について、多数の共和党連邦下院議員が反対票を投じています。それでも、トランプ大統領が中国等に対してタフに出ることに対しては、多くの共和党支持者や議員も賛成してきたということですが、①一か月超の苦しい政府機能閉鎖にも拘わらずメキシコ国境の壁について何の成果も得られなかったこと、②突然のシリア撤兵表明・アフガニスタンへの派兵半減表明によって潮目が変わったというのがこの記事の述べるところです。
While not mentioning Mr, Trump by name, Mr. McConnel rebutted the president’s argument about the limits of American responsibility for patrolling the globe. “We are not the world’s policeman,” the senator said. “But we are the leader of the free world.And it is incumbent upon the United States to lead.”
The White House declined to comment on Tuesday.
Mr, McConnel’s decision to offer his measure on Syria and Afghanistan, which has no binding force,was notable in part because he has sought to avoid open rifts with the president. Unlike current or former Republican senators like Jeff Flake of Arizona or Mitt Romney of Utah, Mr. McConnel rarely speaks against Mr. Trump, preferring to keep focused on mutual priorities like judicial appointments.
(試訳2)トランプ大統領を名指しにすることなく、マコーネル上院議員は世界をパトロールすることに関する米国の責任についての大統領の見解に反駁した。「我々は世界の警察官ではない。しかし、我々は自由世界のリーダーである。そして、米国にはリーダーとしての義務がある。」と同上院議員は言う。
火曜日、ホワイトは本件についてコメントを避けた。
シリア及びアフガニスタンについての措置を提示するというマコーネル上院議員が決めたことは、その措置に拘束力がないにせよ特筆すべきものであった。その理由の一つは、今まで、同上院議員が大統領との間であからさまな対立を避けてきたことである。ジェフ・フレーク氏(アリゾナ州)やミット・ロムニー(ユタ)のような現職のあるいは元上院議員とは違い、マコーネル上院議員がトランプ大統領の見解に反した発言をするのは希であり、むしろ、裁判官任命などの共通の優先事項に集中することを選好してきた。(試訳2終わり)
(こなれていない訳ですみません・・・・)
マコーネル上院議員の言動についてホワイトハウスがコメントを避けたのは当然だと思います。また、トランプ大統領が情報機関関係者に対するのと同様に厳しい発言をツイッターなどで行なっているとの報道も寡聞にしてしりません。役人とは違って、選挙民から選ばれた(しかも与党の)上院議員をクビにはできませんし、過度に対立したらあり得べき弾劾決議の際に味方をしてもらえないでしょう。
細かい話ですが、アメリカ政局を見るには参考になる記事だと思います。
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