【時事英語に学ぶ】米国における対中「冷戦」/左右両派の「呉越同舟」(20190608NYTオピニオン記事)

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、面白い新聞記事と本が読めれば幸せです。新聞ネタも久し振りです。 

 

 今回俎上に乗せるのは、米国コロンビア大客員准教授(歴史)のオピニオン記事です。「Sunday Review」の長めの記事ですね。


www.nytimes.com

 

 色々書いてありますが、ポイントは、「米国では現在、対中『冷戦』が呼号されており、それは、左右両派を問わない」ということです。筆者は、この現状を冷静に分析しつつも、第二の冷戦を防ぐためには今発言する必要があると述べており、冷戦によらない対中関係を模索すべきとの考えです。

 

 左右両派を問わない対中強硬姿勢は、このように描写されています。

.... Now President Trump is escalating a trade war with China as politicians, policymakers and pundits from both parties urge him not to stop there. Senator Elizabeth Warren rejects America’s past “happy face” China policy, and Senator Marco Rubio tweets about China’s “comprehensive plan to achieve world domination.” Washington is gearing up for full-spectrum competition with the world’s No. 2 power. We may be witnessing the start of a Sino-American cold war.

(仮訳1)現在、トランプ大統領は中国との貿易戦争を加速している。そして、(民主・共和)両党の政治家や政策企画家、専門家はそこで留まるべきでないと促す。(民主党の)エリザベス・ウォーレン連邦上院議員は、米国の過去の「幸せ顔」対中政策を拒否する。そして、(共和党の)マイク・ルビオ(連邦上院議員)は中国の「世界制覇を実現するための包括的計画」についてツイートする。ワシントン(の米国政界中央)では、世界第二の経済大国に対する全党派挙げての競争が激しさをましている。中米間の冷戦の始まりを我々は実見しているのかもしれない。

 (注)太字部分は、英語式の韻を踏む三語繰り返しを訳出する試みです。

 

 Beijing must wonder what can satisfy Washington’s demands, beyond changing its regime or retreating from the world. We might find out from Vice President Mike Pence, who blasted Chinese “aggression” in an influential speech last October and is planning a follow-up, or from Kiron Skinner, who holds Mr. Kennan’s old post as director of policy planning at the State Department and who says she is formulating a Kennan-esque theory of the long “fight” with China.

(仮訳2)中国政府は、どうすれば米国の要求を満足させることができるかについて思いまどうに違いない。体制の変更あるいは世界から撤退以上のものだろうか。そのヒントは、マイク・ペンス副大統領の言動から得られるかもしれない。昨年10月の影響力あるスピーチ中国の「敵対的行動」を非難した同副大統領は、第二弾を準備している。または、キロン・スキナーの言動だろうか。(米国の対ソ冷戦を構築した)ジョージ・ケナンのポストであった国務省政策企画部長であるスキナーは、ケナン的な中国との長期的「戦い」の理論を構築しつつあると述べている。

 

 1970年以来、対中友好政策を推進してきた米国ではオバマ政権の後期から、中国に対する感情の悪化が見られますが、対中政策の変更はトランプ政権で先鋭なものとなります。広範な品目について対中関税を容赦なく引き上げる過激な対中貿易戦争は広く報道されています。この記事での指摘で面白いのは、対外積極策を志向する外交専門家などの思惑です。

  ...... (Mr. Trump's)  election caused foreign-policy mandarins to panic over “isolationism” and scramble to save American power. After banding together to defend the “liberal world order,” they have arrived at a surer solution: contain China. Beijing presents an ideal foil — a major adversary that justifies globe-spanning responses but doesn’t pose much immediate threat of war. On Capitol Hill, getting tough on China ranks among the few causes that unite Democrats and Republicans. Economic nationalists imagine jobs returning to America, free-traders think pressure will open up China, and everyone gets to sound tough on defense. Today’s climate reminds Senator Chris Coons of “the 1950s when there was no downside, politically, to being anti-Soviet.”

 

 (仮訳3)トランプ氏の(大統領)選出は、伝統的な外交政策専門家の間に「孤立主義」についてのパニックを巻き起こし、(世界における)米国のパワーを守るための緊急行動をとらしめた。「自由な世界秩序」を守るために結束した彼ら外交政策専門家は、確実な解決策に行きついた。中国の封じ込めである。中国は理想的な悪役である。世界を股にかけた対応を正当化する大物の敵であるにせよ、すぐには戦争の脅威をもたらすわけでもない。連邦議会では、対中強硬姿勢は民主党共和党を結束させる数少ない案件の上位を占める。経済的ナショナリストは雇用が米国に回帰することを想像する。自由貿易主義者は(米国からの)圧力によって中国が開かれると考える。そして、すべてが国防については強硬発言をするようになる。クリス・クーンズ連邦上院議員民主党デラウェア州)は、昨今の雰囲気は「政治的には反ソ連であることに何のデメリットもなかった1950年代を想起させる」と語っている。

 

 要するに、「呉越同舟」ということですね。これは、米国政治の冷徹な現状を表しているものだとは言えます。仮にトランプ大統領が再選された場合(その可能性は大だと思います。)には、超党派の対中強硬策は続いていくことになるのでしょうか。

 

 

 

 

【日本酒の世界に酔いしれる】20190525代田橋「しゃけスタンド」

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい新聞記事と本が読めれば幸せです。最近ブログ更新をサボっていますが、生きております。時間が無限でないなかで、インプットに力を入れるとすぐにアウトプットが少なくなってしまいますね。

 

 さて今回は(も)、「美しすぎる立ち飲み屋」、代田橋しゃけスタンド」です。たまにはしゃけを喰ってみろ!前回はこんなかんじでした。 

upanddown.hatenablog.jp

 

 一杯目は、長野「」(ご)です。

 以前、長野の酒専門の店(四谷荒木町)に行ったことがあります。長野は新潟と比肩するほど酒蔵が多いと伺いました。この「互」も、長野の良い水を使って醸されたものでしょう。

 

f:id:UpAndDown:20190528191332j:plain

  「隠し玉」とはとっておきの酒の意でしょうか。上田の酒米を使った酒です。他地方の酒米を使うケースもありますが、これは長野に拘った酒と見ました。

 色は0/10。甘い香りがするのですが、含んでみると桝酒のような雰囲気の辛口と感じました。大変すっきりします。実際、「ー3」は甘口なのですが、それでも辛口に感じてしまうのは何故でしょう。

 

f:id:UpAndDown:20190528191410j:plain

 

 二杯目は、兵庫「龍力」。 「夏純米」ということですが、春(例えば立春朝絞り)などとどう違うのでしょうか。ラベルからその情報を読み取ることは中々できません。ただ、青みを強調したところが「夏」で中身には違いがないのかもしれません。

 

f:id:UpAndDown:20190528191448j:plain

  色は0/10。弱い甘みを感じます。敢えて言えば、桃か林檎のような味ですね。しかし、ほんの少しの時間が経つと辛みが現れる。割と色々な顔のある酒であるという感じがしますね。

 

f:id:UpAndDown:20190528191521j:plain

 

  最後は佐賀「七田」。これも「夏純米」で同じく青主体のラベルですね。「冷やしてサクサク飲みたい」「名水と蛍の里に銘酒」ありと主張満載ですね。

f:id:UpAndDown:20190528191601j:plain

  色は0.25/10。強めの甘い香がします。桃のような香りが口に広がります。暑かった夏の日の夜の風呂上がりに、キンキンに冷やして気の合った友と酌み交わしたいような酒ではあります。これはいけますね。

 

f:id:UpAndDown:20190528191637j:plain

 

 

f:id:UpAndDown:20190528191717j:plain

 (番外)

 河岸を変えて呑んだ高知「」。特別純米ですね。辛くて強い男の酒という感じです。脂の乗ったいきのいい魚と合わせたいところですね。

 

f:id:UpAndDown:20190528191755j:plain

 

 

f:id:UpAndDown:20190528191852j:plain

 

 

f:id:UpAndDown:20190528191930j:plain

 

 雑な感想ですいませんでした!また、お会いしましょう!

【日本酒の世界に酔いしれる】「鈴傳」を観察してみた20190523

   こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい新聞記事と本が読めれば幸せです。

 

    今回、久々の四谷「鈴傳」。お馴染みのカウンターですね。今日は二合。三合以上呑んでしまうと、どうしても「流す」呑み方になってしまいますし、場合によっては酔い過ぎてしまいます。明日もあるので、まずは二合で我慢しました。種類を呑むのは五勺で呑める別のところにします。なお、「鈴傳」前回の記事は以下の通りです。



 カウンターには常連さんが多いです。お互い名前も知らないのですが、スタイルには色々な違いがあります。私の隣に立った男性は、一杯目は判で押したように瓶ビール小にお刺身。何も言なくても出てきます。必ず野球帽をかぶっており、必ず夕刊紙を読んでおられますね。ビールを呑んだら日本酒に移るのも定跡ですね。そして、もう一つ隣の男性もビールを呑んでいますが、ビール瓶もコップもつまみも持参したハンカチかランチョンマットの上に載っています。この方は本日久し振りに見ましたが、珍しいことです。

 さて、一杯目は、宮城「阿部勘」。

f:id:UpAndDown:20190524060658j:plain

 堂々たるラベルです。 

f:id:UpAndDown:20190524060725j:plain

 色は1.5/10。第一感は「甘い」。しかし、同時に「強み」も感じるバランス型の酒です。標準的な・多くの人から愛される酒ですね。当然ながらここでは燗酒では呑みませんが、ぬる燗で鍋を囲むのも十分ありだと思います(宮城の魚介を使ってのなべとかで呑むのは美味しいでしょうね。)。ただ、ハードリカーを呑みなれた欧米人には「甘口」と忌避されてしまう かもしれません(以前、同様のことがありました。)。本来、「食中酒」ではないかと思いますが、「最初の一杯」としても違和感がない・どこでも守れるようなプロ野球選手のような酒ですね。

 この酒を造っている酒造はこういうところですね。 

abekan.com

 

 そして、最後の二杯目は、山口「東洋美人」。

f:id:UpAndDown:20190524060756j:plain

  ラベルのインパクト、あります。色は1/10。香りはほとんど感じなかった。何故かこちらの方が一杯目から「辛口」と感じるのはラベルのせいでしょうか。しかし、この酒も「阿部勘」同様、奇をてらわぬ・素朴な味わいの酒です。木綿豆腐の・素朴な冷奴と良く合う酒ではあります。

 

f:id:UpAndDown:20190524060828j:plain


 おつまみは、いつものおしんこと冷奴。

 

f:id:UpAndDown:20190524064420j:plain

 

 

f:id:UpAndDown:20190524064453j:plain


 常連さんに目礼し、店を出ます。酒も「腹八分目」が良いようです。





































































































































































































































































































































































































































































































【日本酒の世界に酔いしれる】仙川・蕎麦屋の酒(続き)20190517

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、為になる記事と素晴らしい本が読めれば幸せです。

   色々事情がありまして、しばらくブログの更新をサボっておりました。まあ、たまにはこういうのもありかなと思いつつも、やはり、将来のためにも、長く「鉄棒にぶら下がる」ことは重要ですよね。

 さて、今回は、下記の記事で伺いました蕎麦屋さんに再訪しました。

upanddown.hatenablog.jp

  蕎麦屋のおつまみや蕎麦自体の日本酒との相性は、酒飲みは当然御存知の通り抜群。

 この「石はら」はおしゃれで、女性の一人客も多く、酒もそれなりに選びが入っており、おつまみも多彩です。

 

f:id:UpAndDown:20190517074944j:plain

  余りに画像が悪いですが、細かい魚卵を振った煮凝りですね・・・

 

f:id:UpAndDown:20190517075021j:plain

岩手「赤武」に外れ無し!色は0.5/10。旨味で呑ませる酒ですね。酒/コメの良いところが身体の全細胞に流れ込んでくる感じですね。辛すぎず、舌に優しい佳酒といえるでしょう。

 

f:id:UpAndDown:20190517075053j:plain

 

 

f:id:UpAndDown:20190517075128j:plain

 そして、青のりを合えたポテトサラダ。これも新感覚。

 

f:id:UpAndDown:20190517075201j:plain

 三重「滝自慢 プラウ」。色0/10。赤武よりは香りが弱く、軽い鋭さがあります。冷やでなく、常温っぽいのは何故でしょう。

 

f:id:UpAndDown:20190517075233j:plain

 写真は撮りませんでしたが、そばも美味でした。

 ご馳走様でした!

 

 

【たった一人のビブリオ・バトル(速読図書館1冊目)】7冊読んでみた・・令和元(2019)年5月3日

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、為になる記事と素晴らしい本が読めれば幸せです。

 皆様、初々しい令和の御代をどのようにお過ごしでしょうか・・・私は、記念すべき令和初日には某大寺で令和の御代の弥栄を仏さまに祈願申し上げた後、御朱印を頂きました。その後、明治神宮に向かったのですが、御朱印待ちの行列に心が折れてしまい、お参りをするのみでした(まあ、御朱印は本来おまけですからね・・・)。令和初の日本酒は明治神宮での振る舞い酒でした(これについては別途述べたいと思っています。)。その後は、更なるアルコールと友人との駄弁りと珍しくも長々とTVを観て「正月気分」を味わい、「三が日」ぎりぎりの本日(令和元年5月3日)、靖国神社に詣でて英霊に我が国の発展を祈願し、御朱印を頂きました。

   f:id:UpAndDown:20190503204944j:plain

 

1.「速読図書館」サブ・カテゴリーを作ってみました

 さて、読書カテですが、「速読図書館」というサブ・カテを作ってみました。と言いますのも、本の読み方・買い方及び本からの学び方を変えてみたいと思ったからです。二つの本の読み方を混合させようと思います。

 第一に、味読すべきと考える古典をじっくりと味読する。これは、「エッセンシャル思考」でも推奨され、私も納得した読み方で、基本的に現在までの私の読み方でもあります。 

upanddown.hatenablog.jp

  時の試練を経た「古典」を読むことは、私たちのバックボーンとなるものです。集中して読むにせよ、係る作品を走り読みしてどうなるというのでしょうか。

 第二に、現在の「古典」ならざる書店に溢れている本です。これらは、できる限り急速度で通読し、その内容を把握してアウトプットして、その価値を急ぎ評価すべきものです。その過程において、我々が読むべき古典が浮かび上がることもあるでしょうし、また、これらの「『古典ならざる本」を座右の書とすべきと判断されるかもしれません。

 第二の読み方をするには、資力や保存スペースが膨大でないなら、使いやすい図書館に通うのが実はいいのです。しかし、公共図書館は往々にして不便な場所にあって、頻繁に利用することが困難です。そこで、大型で、しかも、座り読みスペースがある書店が便利です。今回、このような書店が見つかりましたので、今後第二の読み方を実践して「速読図書館」を建てていきたいと思います。少しでも面白い本を紹介できればいいなと思います。

 

2.で、早速、7冊読んでみました

 今回、令和の三が日でむちゃくちゃ時間がありましたので、一気に7冊速読してみました。以下、その概要を述べていきたいと思います。大体、一冊15~30分くらい使いました。

(1)

 ノウハウ本ですが、内容はそれなりに盛り沢山。結論から言えば、予算さえあって、仕事に関係しそうであれば買うべき本かと思います。

 著者は、Yahooの社内大学でプレゼン技術について教えている人物とのこと。この本では、様々な局面においてビジネス・パーソンがどのようにプレゼンを行うべきかを論じます。事例は豊富です。

 テクニックとして重要なのは、「ピラミッド構造」。事実→根拠→主張と積み上げる構造です(繰り返し出てくるグラフィックは分かり易い。この本の中でも主張をグラフィックにするのは必須であると述べられています。)。表題にある通り、プレゼンは枝葉を省いて1分でまとめろという教えもあります。1分でまとめて言えないものは数時間かけても分からないものであるというのは、筆者個人の経験からも、プレゼン指導の経験からも導出される原則だということです。また、プレゼンをするに際してはビジュアルなイメージに 聞き手を引き込むべしという論も納得できると思いました。

 リーダーシップ論とも重なるところでは、会議のファシリテーターを務める際の心得があります。ここでも、単独でプレゼンする際と同様「ピラミッド構造」を使います。すなわち、会議までに意思決定のために考慮すべき全ての要素を出しておき、更に、実際の議論においてはその中で重要な要素に対する根拠を積み上げて決定事項としていく。ここでの例では、ある会社のCMキャラとしてどのようなタレントが良いかをランク、予算、目的合致性の要素で決定していくかが挙げられています。

 

(2) 

怒らないコツ──「ゆるせない」が消える95のことば

怒らないコツ──「ゆるせない」が消える95のことば

 

  これは、半分ノウハウ書、半分エッセーのようなちょっと緩い本です。筆者は学習院大を卒業後に資生堂に入社。独立後は「人生論」の研究を行っている人物。本書は、「アンガー・マネジメント」の本です。

 良寛からの引用が多いですですね。筆者は、「こだわらない」で怒らないことが最上の生き方であると主張し、その中で良寛の生き方を一つの理想としています。例えば、良寛宅に来て良寛の悪口を言いまくって帰った人について、この人が帰った後に雨が降ったことから「さっき悪口を言って帰った人は傘を持っていただろうか」と心配したといった挿話が紹介されています。他に、老子仏陀、「菜根譚」などが取り上げられています。

 実用的なテクニックとしては、怒りの原因となる事象があっても直ぐに反応しないdelay technique が紹介されています。また、「メタ認知」を高める、本に親しんで視野を広げることなどが勧められています。

 怒りは健康を損ない、人生を損なうものだとの基本的認識の下、様々なアンガー・マネジメントを勧める「実用書」ではあります。ただ、アンガー・マネジメントのテクニックを突き詰めた「実用書」でなく、アンガー・マネジメントに役立つことも言っている偉人の著作等を読む窓口のような本だと思います。結論としては、私のやったように通読レベルで済ましておいて買う必要はなく、むしろ、この本で引用している偉人等についての原典やより専門的な書籍を深く読むべきだと思いますね。

 

(3)

新装版 銀行支店長 (講談社文庫)

新装版 銀行支店長 (講談社文庫)

 

 TBS日曜夜10時からのドラマ「集団左遷」の原作本の一つです。

 主人公は、ドラマと同様に「片岡支店長」。やはり三友銀行の行員でして、フツーの支店の支店長から合併相手の信用金庫の「本丸」である飯田橋支店の支店長に横滑りします。 同期のライバルが辞表を出すほど運営の難しい支店です。時代設定はバブル崩壊からはそれほど時間が経っていない時期のようです。

 結果として、主人公は(半沢直樹とは違い)銀行を辞することになります。しかし、飯田橋支店赴任に当たっては、数名の三友系行員を引き上げさせ、腹心2名を課長職として動員して赴任します。

 片岡支店長は1000億円のノルマ(融資や預金量などをまとめてのもので、そのうちには企業の銀行振り込みなども含まれます。)をこなすために奮闘します。その中の最も大きな融資案件が、①田口るみビューティーサロン案件及び②三嶋食品案件です。しかし、①については、信用金庫系で片岡支店長に心を許していない真山次長(ドラマでは香川照之さんが演じています。)が完璧な融資稟議書(高額な美容器具を大量に購入するためのもの)を作成して本部に回したものの、その直後に田口るみ会長の「経歴詐称」等のスキャンダルがマスコミで報じられたために、稟議書は決裁されず返却されるという憂き目に遭います。 

f:id:UpAndDown:20190503225005j:plain

いや、これは大和田専務ですね・・・・

  ②の案件は、全共闘出身の社長と意気投合して事業拡大のための融資16億円が本部の決裁を通りました。しかし、融資実行後、同社社長は行方をくらましてしまいます。この手の詐欺話にはありがちですが、経理も粉飾されてましたね。

  この小説のサブ・ストーリーとして片岡支店長の娘(中学生)が登校拒否らしいといった話や弟の悟郎(写真家)の住宅ローンの話などがあるのですが、少なくとも前者については、片岡支店長が詐欺で取られた16億円を病を押して回収しようとするなかで、娘が父親を力付けるなかで解決していきます。会社を辞めざるを得ないほどのトラブルが却って家族の紐帯を固めるというのは皮肉な話です。

  バブル崩壊前でも、銀行業界でなくても類似のトラブルは大小問わずあったのでしょう。この企業小説はその一断面ということなのではないかと思います。肺炎を押してフィリピンに渡り、16億円を持って逃亡中の三嶋社長を捕えようとした片岡支店長に同行するのは、片岡支店長の苦闘を見て遂に心を開いた真山次長です。 

f:id:UpAndDown:20190503225005j:plain

いや、だから違う・・・

  フィリピンの現地法人等の協力を得て三嶋社長を補足した片岡支店長は帰国後病に倒れ、その後銀行を去ります。その後家族と共に米国に赴いた片岡氏は、今後の人生に闘志を燃やすのでした。買うべきかと問われれば、筆者のファンであれば買えばいいのではないでしょうかという感じです。

 

(4) 

日本が売られる (幻冬舎新書)

日本が売られる (幻冬舎新書)

 

  アメリ下流社会についての著作で知られる国際派ジャーナリストである筆者による新著。

 グローバリズム(「国家の枠を超えて暴れる経済」)進展の流れの中で、日本が守るべきものが侵されている危機感がこの本の基調になっています。そして、日本が守るべきものは、株主の利益増進を最優先の使命尾する企業(あるいは多国籍企業)に不当に売り払われていると説明します。

 その例として、水道事業(水源地)、農業、労働、漁業などを挙げます。また、前著等で取り上げられた米国における公設民営学校の惨状についても述べる。これらの産業等において「日本が売られる」のは、一部民間人と政府との結託によるもので、淡々と立法行為がなされる中で進んでいくことが個別に述べられています。また、遺伝子組み換え作物や一部の(枯れ葉剤類似の)農薬を例に挙げ、諸外国では既に規制が始まっているにも拘わらず、日本では却って規制緩和が進んでいる現状(いわゆる周回遅れでの規制緩和)に警鐘を乱打します。

 この本では、売り払われものを取り戻す動きとして、消費税を廃止したマレーシア・マハティール首相が一例として挙げられています。マレーシアにおいても過去、社会保障目的で消費税を上げるとしつつも、日本と同様、その実際の用途は不明瞭でした(日本については、消費税増税分は法人税減税分とほぼ同額であることを筆者は指摘します。)。また、イタリアの「五つ星運動。この政党は、元コメディアン等が設立した政党で、反NATOなどを掲げ支持を伸ばしてきました(日本ではたぶん、「極右政党」などと紹介されるのでしょうね。)。ネットでの意見を踏まえてのマニフェスト設定・候補者選定を行うなど、政策形成上の透明性を標榜します(もっとも、ネット世論偏重のため選挙で勝てないと、地方のカフェでの有権者との交流を通じてのバランスのよい世論の把握に努めているとのことです。)。更に、米国の主婦たちは、子供のためとなる発揮する「FBI並みの調査能力」をもって、遺伝子組み換え作物や農薬が子供のアレルギーや自閉症などの疾患への関係を糾弾しています(なお、遺伝子組み換え作物は、そう明確に表示されずに日本人の食卓にも忍び込んでいるというのが筆者の指摘です。)。日本でも、大阪では、橋下市長(当時)が推進しようとした水道事業民営化が議会によって否決されたことが挙げられています。これに加え、ロシア・プーチン大統領の食料完全自給化の取り組みをグローバル企業からの脱却にも触れられています。

 この本は、日本の今後について考えたいということであれば(賛否はともかく)購入を検討するに値する本だと思います。

 

(5) 

 筆者は55歳の元参議院議員早大商→慶応院→山一証券→米イェール大留学→政界(幾多の落選を経て自民党から出馬するも、現職議員として唯一民主党に鞍替えして落選)→シンクタンク客員研究員等。結論から言えば、立ち読みで十分。他の本を購入することを検討しましょう。バブル期に親のすねをかじって「モラトリアム」で大学院に進学し、その後山一証券M&Aで成果を挙げて留学、その後政界でばたばたと仕事をして現在は一種のフリーということなのですが、略歴を見てもこの本で書かれていることを見ても、一体何を成し遂げたいのか分かりません。

 「頭に来てもアホとは戦うな」というタイトルからはノウハウ本であるように見えます。この本を下敷きにした漫画版では、架空のコンサルタントが「アホ」な上司との人間関係に悩む外食産業の女性社員に助言して成功に導いているという造りになっています。しかし、この「原作本」では、「アホ」と戦わずに成果を出す「ノウハウ」はほとんど記されておらず、筆者の経験を踏まえてエッセーみたいな感じです。

 それでも、①「幽体離脱」(「アホ」の言動を受け流す)、②「関係の悪い人間に敢えて接触することで味方に引き込む」、③「非難しない・相手の利益を与える」等の手法が 紹介されています。政界でばたばた動いたことから、現場で見た大物政治家の月旦評には少々興味を惹かれます。菅官房長官にも触れらえていますが、一番評価しているのは青木幹夫氏のようで、「淡々と仕事をこなす人間が多くを達成する」という結論は、まあそれなりに面白いとは思いますね。

 この本も、上記(3)の「怒らないコツ」と同様、何らかのより濃い本や考えに導くための「窓」に過ぎないと思います。私が買いたいのは堅固な家で、窓だけではありませんからね。少なくとも、この本を読んで、デール・カーネギーを再読してみたいと思ったのは成果かなと思ったりします。

 

(6) 

毎月5000円で自動的にお金が増える方法

毎月5000円で自動的にお金が増える方法

 

 ノウハウ本の老舗、かんき出版の投資指南本ということですね。結論から言えば、投資に興味がある人であれば、買うのもいいと思います。私も結局買うかもしれません。「ノウハウ本」としては、今回読んだ本では、①「毎月5000円で自動的にお金が増える方法」= ②「1分で話せ」>③「怒らないコツ」>>>④「頭に来てもアホとは戦うな」というランキングになりますね。①の方が鼻差で一位かなと思うのは、よりビジュアルでより分かり易いからです(潜在意識やRASなどが書いてあるのは、自己啓発あるあるではあります。)。

 さて、筆者は両親がパキスタン人ではありますが、日本で幼少時から生まれ育った方です。元敏腕ディーラーであり、現在は投資コンサルタントですね。最後の方に書いてありますが、この本というのは最終的には筆者の投資セミナーに誘導することが一つの目的ではあります。筆者は極めて正直に、本当に投資家として成功したいのであれば、そのための投資を惜しんではいけないと述べ、成功例としてベトナム人投資初心者の例を挙げます。ベトナム人にとっては高額のセミナーに参加し、そこで学んだ手法を愚直に行うことで多くの成果を挙げているとしています。

 この本では、カネの本質を述べ、普通の貯蓄や住宅ローンを追っての持ち家購入が非合理的であると説きます。特に、持ち家購入は、結局は最終的には価値が下がってしまうモノに投資をしている不合理な行動であるとします。家計のバランスシートを考えれば、高額な住宅を買ってしまっており、カネを生まない投資をしていない家計は失格であるということで、いわば、「プアマインド」の産物であるというのが筆者の主張です。

 筆者が提唱するのは、「ウォーターフォール」理論です。家計の節約による冗費の捻出(=「安心」)から始まり、より本格的な投資(=「自由」の獲得)に向かうべきという考えです。この本の中では、シャンペンタワーで象徴的に描かれているのですが、最初の「安心」という段階が「満杯」になったら、次に、NISAでの少額投資(=5000円から始められます。この本のタイトルはここに起源があります。)を始め、それが満タンになったら更なる投資を始めるというのが筆者の説くところです。この段階は四つ提示されているのですが、最初の段階をクリアせずに先の段階に進むと必ず失敗することは筆者本人の投資の失敗から語られます。しかし、物事の筋道をきちんとたどれば、筆者の小さな息子でさえ、年率二桁の投資実績を挙げられると述べています。筆者は合理的・科学的な手法によって、失敗を乗り越え10億円の資産を得たと言います。「自由」であるためには十分な資産でしょう。

 この本は非常に戦略的に書かれています。あとがきの末尾においては、「あなたはこの本を読んだのだから、今までの考えにとらわれずに投資を始めてほしい。帰宅したらネット証券に口座を開設してNISAを始めるといった何らかの行動をしてほしい」といった意味のことが書いてあります。さすがはノウハウ本の老舗、かんき出版という造りだと思います。以前から少額投資については興味がありましたが、背中を押された気持ちになってますからね。

 なお、筆者は、両親が自分の教育に投資してくれたことを踏まえ、自分の子供の教育にも多大な投資を行なっています。「最高の投資は教育」という筆者の意見には私も賛同です。質の良い教育に1000万円投資すれば、それはあわよくば数十倍にもなって帰ってきます。筆者は単なる銭ゲバではないんですよね。 

銭ゲバ 上 (幻冬舎文庫 し 20-4)

銭ゲバ 上 (幻冬舎文庫 し 20-4)

 

 

(7)ふう、ついに最後です。 

絶望読書 (河出文庫 か 34-1)

絶望読書 (河出文庫 か 34-1)

 

 読書論は、日本人には常に人気です。最近、名前につられて斉藤孝氏の読書論を買ったのですが、「絶望読書」は普通の読書論ではないと思い手に取りました。しかし、アマゾンで「絶望読書」と検索すると筆者本人の本だけでなく山田太一氏の「絶望書店」などというのも出てくるので、「絶望」と「読書」って何らかの親和性があるし、一部の読書人の中では既に知られていることなのかもしれませんね。

 さて、筆者は「文学紹介者」というのが肩書です。面妖な。筑波大3年の時難病に罹った筆者は13年に亘り入退院を繰り返しつつの闘病生活を送ります。これは、「絶望」の状況です。筆者は、中高時代、「薄い」という理由で太宰やカフカの「絶望」小説を読んで読書感想文を書いた経験もあり、療養中はドストエフスキーの重い小説を読み、同じ病院の重病患者にも勧めることになったようです。

 筆者の経験からは、絶望的な状況にある人間に明るい小説を読ませるのは毒であるということとのようです古代ギリシャの哲学ではアリストテレスの「悲観論」とピュタゴラスの「楽観論」と分かれる由ですが、既に悲観的な状況にある者にとってはまず前者が寄り添い、回復する途上には後者が有益というのが筆者の結論です。この対比は西欧文学ではカフカゲーテということになります。

 「絶望状態」には必ずしも「絶望文学」だけではなく、精神的な糧としての芸術は重要です。ニューギニア水木しげるには、全てを無くした後でも「ゲーテとの対話」がなくてはいけませんでした。ナチス強制収容所にいたユダヤ人は「赤十字より古典を」と考えていました。大地震の後では、クラシック音楽のダウンロードが急増しました。筆者は豊富な実例をもとに「絶望状態」における精神の糧の重要性を語ります。

 この本は小品ですが、 「絶望読書」とは何かについての前半部、具体的な「絶望読書」のための本等が具体的に挙げられている後半部に分かれます。後半で取り上げられるのは、太宰、金子みすずドストエフスキーカフカ山田太一桂米朝向田邦子と、狭義の小説以外も含まれます。落語については、酒飲みの主人公が間違えて酒飲みの願人坊主を「火屋」で火葬しそうになるというブラックな作品が紹介され、落語は絶望を笑い飛ばすことができるコメディといった評価がなされていることが面白いです。あと、筆者は、「絶望」状態にある人が読んではいけない作品としてイタリア人作家ブッツアーティの「七階」を挙げています。これは、ホラー愛好者に読ませてみたいですね。 

ja.wikipedia.org

 結論として、この本は新たな読書に向けての一つの道標であり、窓口です。この本を読んで私は、この本に挙げられている本を読みたくなりました。山田太一作品が提示するように、日常にも「絶望」が潜み、蓄積していくのであれば、「普通」の人が「絶望読書」をしてもおかしくないと思います。この本を買うかということになると微妙です。小品であり、立ち読みでも、私のサマリーで大体のことは分かると思います。筆者の人柄にご興味があればどうぞというところです。私としては、筆者・頭木弘樹さんの講演などがあれば肉声を聞きたいところですね。 

 

3.それで、気になる本を買いました

 ふうううー。さて、これだけ本を読んだのです、買ったのは別の本です。 

菜根譚 (岩波文庫)

菜根譚 (岩波文庫)

 

  私の書架には中国古典がそれなりにありますが、改めて、今回速読した本の中に何回か言及されていたのが「菜根譚」です。解説本などもあるのですが、まずは原典をということで。 

 「速読図書館」は、今後、GWが終わったらペースが落ちるかもしれませんが、できるだけ継続していきたいと思います。ご参考になるところがあれば幸いです!

 拙ブログにお立ち寄りいただき、ありがとうございました

 

【話題のふりかけ】令和元年、おめでとうございます!/皆様とお会いできた平成31年との今後

 皆様、令和元年おめでとうございます!皆様の新たな年が大変幸せなものになるよう心から祈念申し上げます。

f:id:UpAndDown:20190501091818j:plain

 

1.平成31年。ブログを通じて皆様とお会いできた幸せ

  たった4ヶ月で終ってしまった平成31年は、この「はてなブログ」を通じて皆様とお会いする幸せを得た年でした。そして、個人や国家の来し方行く末を微力なりとも考えた年でした。個人レベルでは、ブログという新たな可能性を得た年でした。リアルな生活において平成30年10月から日誌を書き始めたこともあり、今まで散発的に書いてきた公私の文書はともかく、ここに私の歴史が始まったと考えております。

  自分なりのこの「歴史」がないと、平成という大きな塊の時代を振り返ることに困難を感じることがしばしばでした。結局のところ、人間というのは刹那に生きる者。その場その場を「取り敢えず」でこなす者です。刹那を超えて成長するには、「歴史」を持たねばならない。そのためには「日誌」を記すことが一番です。そして、ブログはそれぞれの時の関心事項をもって外に繋がる行為です。

 

2.主に「守成」の時代だった平成と今後

  私は、日本の歴史とは、他国の歴史と同様、「破壊」→「創造」→「守成」を繰り返すものであると考えています。近くで言えば、「第一次石油ショックによる破壊」→「本格的な先進国への道とバブル経済という創造」→「バブル崩壊と失われた30年という守成」の時代です。我々は、国家が滅びない「戦後体制」において、長い守成の時代を生きています。人間は現状維持の生き物であり、外敵・災害の脅威・被害がない限り、現在の生活を守るのが自然です。実際、古来、日本での「破壊」には外敵等からのショックが主な原因だったと素人ながら考えます。

 現在の「守成」の時代はいつまでつづくでしょうか?そして、日本には「破壊」を超えて「創造」に向かう力が残っているでしょうか?日本をよりよく生存せしめるためのリーダーを選ぶシステムはきちんと機能しているのでしょうか?

 これらの問いへの私なりへの答は持っているのですが、今日はこの問いを置いておくのみにしたいと思います。拙ブログは主張しない「図書館ブログ」ではありますが、自分の根底にはこの問いがあり、心の中で何回も何回も戻ってきます。これが私の根源的な問いなのだと思います。そして、色々なネタを取り上げるに当たっても、仮に、それが他国のことであっても、他国を鏡にして日本を見るためのものになると思います。

 平成31年はこのようなことを考えさせる節目の年、あるいは黄昏の年でありました。

 

3.今後の拙ブログ

 以前ご紹介した「エッセンシャル思考」には、筆者のグレッグ・マキューン氏がロースクール在学中に進路に悩み、友人の結婚式に招待されて米国に赴いた際に自分の望みを新たな目で書きだしたシーンがありました。 

upanddown.hatenablog.jp

 結果、自分がやりたいこと、追求したいことには法律が全く入っていなかったということです。自分で自分の選びたい途をつきつめたところ、それは、教育/リーダーシップ関連であったことから、ロースクールを2週間後に辞めて故国の英国を後にして米国に留学したということです。流動性の高い米英で生きる高度専門職である同氏と日本に住む私たちとは環境が大きく違います。現在の職場から離れて包丁一本で働くことができる人も比較的少ないでしょう。私もそのような日本人です。

 しかし、それでも自分の中に上記のような問いを持って学びを続けることは可能だと思います。枝葉を省き重要な問いを問いかけ、その解答をファクト・エビデンスをもって導き出し、知るべき人に知らしめるかが重要なのだと思います。個人としても、国家としても、「問いを発し、問いに答え、答を知らしめる」という三つを如何に高度になしていくかが、社会の中、あるいは、地球の中で重きをなすための命題だと思っています。

 このような問いを根底に持ちつつ、皆様の参考になりそうな記事を今後も書いていきたいと思います。酒カテについても、「地方の力」を体現する酒蔵訪問なでしていきたいですね・・・まだまだ初心者ですが、よろしくお願いいたします。

 駄文にお付き合いいただき、誠にありがとうございます!

 改めて、令和の御代に読者の皆様が益々ご発展されることを祈念して取り敢えず擱筆いたします。

 

 

【日本酒の世界に酔いしれる】(48盃目)平成31年日本酒呑み納め!新宿三丁目「know by moto」20190427

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、為になる記事と素晴らしい本が読めれば幸せです。

 

 1.平成31年度日本酒呑み納めは「know by moto」

   平成31年も暮れようとしていますね!というか、平成が暮れようとしています。私は、この「年末年始」をどのように過ごそうかなということですが、まあ、4月30日はどこの大寺に行って、5月1日は明治神宮かななどと思っています。その為にも、4月28・29日は休肝ですかねえ・・・(永く呑み続けるためには、やはりメンテが重要ですから。)平成31年呑み始めは、以下のような記事でした。酒呑みの技法や酒の知識が多少は良くなりましたかねえ・・・・ 

upanddown.hatenablog.jp

   ということで、平成31年の呑み納めは4月27日に「巨人×横浜」戦を東京ドームで観戦してから、新宿三丁目「know by moto」に伺いました。前回の訪問記事はこんな感じでした。

upanddown.hatenablog.jp

  最初の訪問は、某割烹で知り合った方の紹介で「下見」がてら一人でということでしたが、今日とかは共に野球観戦をしてきた友人と二人でした。友人も喜んでくれました。相変わらずお客さんの中に女性率が多いです。おしゃれですから、カップルで来ることも女性二人で来ることもありですね(勿論男性単独でも二人連れもあります・・)。酒の種類も多いですから、従来の酒が苦手だった人にも好みの酒が見つかるでしょう。酒の量も64MLであれば、色々な種類が楽しめます。少ない量を何種類か呑むようにして、つまみもそれほど取らなければ財布にも優しいですから、新宿にいそうな/来そうな20歳台~30歳台の未婚女性には訴求しそうな店ですよね。

 

2.今回の酒たち

(1)新潟「凌駕」純米10辛

f:id:UpAndDown:20190430094907j:plain

 ねっとりした辛口ですね。色は無し、目立った香りもありません。 

f:id:UpAndDown:20190430094933j:plain

 辛口というのはこの「ねっとりさ」がないものが多いわけで例えば福岡「三井の寿純米吟醸大辛口ですね。以下の記事で書きました。呑み方の順番で印象が変わるのかもしれませんが、やはり、個人的にはからっとした辛口が個人的には好みですね。 

upanddown.hatenablog.jp

 

 (2)和歌山「黒牛」純米中取り 無濾過生原酒

f:id:UpAndDown:20190430095111j:plain

  色は1/10.これもねっとりした味わいで、強さのある酒です。まあ、バランスの良い酒だと思います。

 

f:id:UpAndDown:20190430095137j:plain

(3)滋賀「萩乃露純米吟醸

f:id:UpAndDown:20190430095321j:plain

  色はありません。癖が少なく、しかし、強さがありますね。時間が経ってもエグ味が出ず、却って清新さが増します。これは中々行ける佳酒ですね。

 

f:id:UpAndDown:20190430095352j:plain

 

f:id:UpAndDown:20190430095420j:plain

 「渡舟」(「渡船」?)という酒米は知りませんでした。こういうものらしいですね。いつか、他の酒米との違いをもっと明確な形で味わってみたいものです。

sake-review.com

 

(4)兵庫「純青」短稈渡舟生酛純米木桶仕込み。これも「渡舟」ですね。

f:id:UpAndDown:20190430095457j:plain

 色は1/10。甘めでフルーツ臭がしますね。中々呑みやすいですね。これも酒米の力でしょうか。

f:id:UpAndDown:20190430095523j:plain

 

f:id:UpAndDown:20190430095549j:plain

 「短稈渡舟」。なるほどなるほど。「渡船」の復活というのは、日本酒界にとっては大きな話だったようですね。。。。

tipika-blog.com

 

(5)石川「遊穂」山おろし純米酒無濾過生原酒

f:id:UpAndDown:20190430154927j:plain

 

 

f:id:UpAndDown:20190430154953j:plain

 

「山おろし純米」というのは余り聴かない言い方ですが、要は「生酛造り」ですかね。 

f:id:UpAndDown:20190430155020j:plain

 

3.今日のおつまみたち

(1)

f:id:UpAndDown:20190430095002j:plain

(2)

f:id:UpAndDown:20190430095250j:plain

 

 たぶん、平成31年最後の記事です。不十分だったかもしれませんが、今後も勉強して有益な記事を書きたいと思ってます。 

 お立ち寄り頂き、ありがとうございました! 

【日本酒の世界に酔いしれる】(47盃目)代田橋「しゃけスタンド」20190423

 

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、為になる記事と素晴らしい本が読めれば幸せです。前回の酒カテ記事はこんな感じでしたね。平成の御代も終わりということで、ちょっと書き溜めていた酒記事を幾つか書いてみたいと思います。

upanddown.hatenablog.jp

 

1.またまた代田橋

 「犬の散歩」と称されるほど決まったところを回ることが多い私ですが、今回も、今まで何回も出かけた代田橋「しゃけスタンド」です。この店では、店員さんの中に酒に拘りのある人がいて、定番の酒、トレンド上の酒、珍しい酒がほぼ2週間くらいで入れ替わります。 

tabelog.com

 この店の直近の記事はこの通りですね。 

upanddown.hatenablog.jp

  この店は、代田橋駅からやや遠いことが雨の日などは難点ですが、沖縄料理店の立ち並ぶ一角にある良店です。立地もあってそれほど混んでいませんし、入れないということはありませんね。

 

2.本日の酒たち

(1)ヨナヨナ・エール

    すいません、写真を忘れました。

yonasato.com

    こういったビールですね。以前、別のところで呑んだことがあります。

 

(2)滋賀「三連星」

f:id:UpAndDown:20190428094217j:plain

 色は、10段階で0.5。舌にはシトラス感が残ります。酸味も一番最初に来ますね。そして、それはきつすぎない酸味です。ところが、水を含むと甘さが出ます。水を飲んだ後に呑むと甘さが出てきます。佳酒であると言えるでしょう。 

 

f:id:UpAndDown:20190428094250j:plain

 この酒の製造過程にはフランスワイン酵母が使用されているということです。先述したような味わいはその酵母の故でしょうか。滋賀の酒は中々侮れません。

 

(3)鳥取「千代むすび」

f:id:UpAndDown:20190428094326j:plain

 次は鳥取に飛びます。気泡があり、無色です。香りが若く、酸味が先に来ます。そして、酸味が長く続く意外な純米大吟醸であると言えます。 

 

f:id:UpAndDown:20190428094402j:plain

 

f:id:UpAndDown:20190428094437j:plain

(4)岐阜「津島屋

f:id:UpAndDown:20190428094514j:plain

  そして、岐阜です。色は0.05/10。「津島屋」という名称を復古させつつ、英語も書いてあるということで現代風です。海外を含め、より広い顧客層を狙ってのものでしょうか。

f:id:UpAndDown:20190428094547j:plain

 軽い感じで、これは美味いです。女性にも受ける酒ではないでしょうか。これが平成30年度醸造の標準酒であるということであれば、他の酒も期待できるのではないかと思います。それにしても、杜氏のお名前、「酒向 博昭」というのは凄いですね! 

 

3.本日のつまみたち

(1)たまごおでん:切り口に振りかけられれたしゃけフレークが美味しいですね。

f:id:UpAndDown:20190428094631j:plain

(2)しゃけつみれのおでん:この店特有のおでんネタですね。

f:id:UpAndDown:20190428094721j:plain

(3)そして、「いくら豆腐」です(おでんの食べかけは失礼します。)。この組み合わせは意外ですが、美味しいですね。

f:id:UpAndDown:20190428094835j:plain

 

  ご馳走様でした!また、「散歩」に来ますね。

【たった一人のビブリオバトル】「ファクトフルネス」

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、為になる記事と素晴らしい本が読めれば幸せです。  

 書評カテです。書評なら、アマゾンで本を買ってアマゾンでやれと言われかねないのですが、ここでやることに価値があると思っています。ただ、タイトルは変えた方がいいかなあ・・・

 ちなみに、前回はこういう記事でございました。 

upanddown.hatenablog.jp

 1.ハンス・ロスリング他「FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」:背景等々

  今回は、この本でございます。アマゾン情報を貼り付けて、GAFAに貢献でございます。実にしっかりした良書だと思います。

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

 

  この本の著者は、ハンス・ロスリング氏。スウェーデンの医師(専門は公衆衛生のようですね。)であり、社会活動家です。ロスリング氏は、医師として母国内外で活動をするうちに、如何に我々が世界を見る目が歪んでいるかを知ることになったようです。そして、科学者らしく、その原因を追究してまとめたのがこの本です。ロスリング氏は、TEDでの講演もしていたということで、まあ、「世界の叡智」として認められているということですね。 

 しかし、この本の出版を待たずして死去しましたので、生前から協力をしてきたお嬢さん夫妻がまとめたものです。しかし、この本には、ロスリング氏本人の「肉声」がたっぷり入っています。データを通じて世界を見るわけですが、その理由は、この政界を何とか良くしたいという思いに基づくものであり、各章には生き生きとしたエピソードが満載です。

ja.wikipedia.org

 この本は相当素晴らしいですね。大きな知的キャパシティに満ちており、この本を出発点にして、色々な思索を深めることができるし、様々な施策の参考になると思います。1,800円(税抜き)は決して高くはないです。

 多様な本に行き当たるうちに私たちは、特定の分野においてこの本は避けられないという本に出合うことがあります。私にとっては、以下のような本がそれに当たります(これらの本はいつかこのカテで紹介したいと思います。)。 

書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫)

書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫)

 
千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 
情報参謀 (講談社現代新書)

情報参謀 (講談社現代新書)

 
文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
 

  この「ファクトフルネス」がそのような本の仲間入りをする可能性大だと思っています。

 

2.「FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」:そのアウトライン1(世界の国の分類)

  この本には、世界の現状についての様々な図解があります。この図解の基となった資料はスウェーデンの民間機関が無償で提供しているものを使用しているほか、様々な公的な機関のものも多数使用しているようです。また、が世界20か国(日本も含まれます。)ほどの国民に世界の現状・今後について質問・アンケートを取ったデータも重要です。この二種類のデータを突合して、「現実の世界」と「十分な情報を得ている筈の各国の国民の思い込み」に如何に大きな乖離があるかを明確に表そうとしています。

  この「乖離」が何によって生ずるかを説明するための10個の「仮説」を提示して、一緒に考えようというのがこの本のテーマだと思います。

  この本の一番最初に、世界の国を縦軸に「健康(=平均寿命)」と横軸に「所得」(一人当たり所得かと思います。PPP補正がなされていたかは覚えていません。)を据えた座標が載っています。最初の最初の裏表紙ですね。これが実に良くできた表でして、この表の上には、地域で色分けされた世界の全ての国が色付けされ、人口規模で大小のある円形で示されています。この表は、左からレベル1、2、3、4と分けられており、基本的に右肩上がりのものになっています(=すなわち、健康度と所得は正の相関関係があります。)。

  この本の後ろの裏表紙には、この四つのレベルの国の国民がどのように生きるかを象徴的に示すカラー写真が付いています(これは、本分にもモノクロで載っています。)。すなわち、「水の獲得」、「移動手段」、「ベッド」、「食べ物」等です。このように、この本には、視覚的に情報を把握する仕組みが幾つもなされており、読者の理解を大変助けています。この「士業男子」さんの書かれていることに通じるものがありますね。
www.mayaaaaasama.com

  私も心掛けねばなりません。その発言には賛否両論ありますが、三橋貴明氏もデータを図表にするのに長けてますよね。見習いたいものです。

 

3.「FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」:そのアウトライン2(思い込み)

 

 「10の思い込み」。多いですね。以下、羅列しますと、

 (1)分断本能/(2)ネガティブ本能/(3)直線本能/(4)恐怖本能/   (5)過大視本能/(6)パターン化本能/(7)宿命本能/(8)単純化本能/(9)犯人捜し本能/(10)焦り本能

  筆者に言わせると、これらは「最も知識量が多い」と考えられている人々も有する「ドラマチックな本能」によるものであり、人間の判断を誤らせる「本能」だということです。選択された十数か国での調査によれば、一貫して圧倒的な正答率を誇ったのは「地球温暖化」のみで、他の設問ではことごとく(三択に出鱈目に回答する=33%は正答する)「チンパンジーにも劣る」ということなのです。

  それぞれの「本能」基づく思い込みへのデータを用いた反論のあらましを述べますと、

 (1)分断本能←世界は「先進国」と「開発途上国」に大きく分断できるものではなく、様々な「進歩」によって、世界の大半の人々は「中間」に位置している。

 (2)ネガティブ本能←悲観的な情報・事件がニュースとなりやすいことを念頭に置きつつ、「悪い」ことと「良くなりつつある」ことが共存しうることを理解すべし。ここでの描写では、病院の保育器にいる未熟児の状態を世界の現状に例えていたのが分かり易いですね。

 (3)直線本能←社会現象は右肩上がりの直線だけではないことを理解すべし。人口についての「思い込み」(=ひたすらに地球の人口が右上がりになるのではないか・・・)の誤りについて論ずる部分が最も分かり易いです。「人類はついに自然と順応しつつ生きている」ことのす素晴らしさは、データ分析に自信がないと言えません。

  

f:id:UpAndDown:20190423213959j:plain

不可能な物を除外していって残った物がたとえどんなに信じられなくてもそれが真相なんだ。

 

 (4)恐怖本能←震災やテロなどが起こった時に恐怖の念に襲われるのは仕方がない。しかし、その瞬間が去ったら、その恐怖が事実に基づいたものか否かをきちんと考えなくてはならない。世界のジャーナリズムがニュースを作るための10のフィルターの一つとしての「恐怖本能」を直視すべし。日本人にとっては、東日本大震災での福島第一原子力発電所事故の被曝で死んだ人は一人もおらず、死んだ1000人は事故後の避難による疲労によるものという指摘は身近ではあります。

 (5)過大視本能←自分の経験や知識から、特定の数字や社会現象を過大に見て全体を把握できなくなってしまうベトナム戦争は、筆者個人の経験としては極めて大きなものであった。しかし、ベトナム人にとっては2000年に亘る対中国闘争、200年に亘る対仏闘争に比べれば、「たった」20年の対米闘争(ベトナム外ではベトナム戦争と呼ばれる)はベトナムの現地で見た記念碑の大小にきっちりと象徴されるように、小さなもの。「過大視本能」は「比較」によって克服できるということは、このエピソードや世界の子供の死亡数が着実に減少しつつあることが分かり易い実例です。後者は、「悪いこと」と「良くなりつつあること」が両立することの一例でもあります。

 (6)パターン化本能←自分の所属集団(国、社会、職能集団等)の常識や考え方を疑わず、不確かな知識のままで他者を判断したり、様々な行動に出ること。印象に残るのは、筆者がカロリンスカ大の公衆衛生専攻の医学生をインドに研修旅行に連れていった際の話。スウェーデンの大学生はセンサーの無いエレベーターに挟まれて大けがをしそうになったというエピソードは面白いですね。また、「レベル1」から「レベル4」が住むチュニジアについての描写も参考になります。チュニスにある建てかけの家を見て先進国では見られない「怠け者」と断ずることは簡単ですが、これはチュニジア人なりの智慧によるものということが語られています。銀行預金をせず、タンス預金も危険なチュニジア中産階級にとっては、余剰なカネを手にしたら価値が減じないレンガを買って、ゆっくりと家(=資産)を建てていくことが賢いやり方なのだそうです。「レベル4」の考え方(=WEIRD?WIRED?特有の考え方とも言えますね。)で世界を見るとどうしても歪んで見えてしまいます(逆もまた真なのでしょうが。)。 

cscd.osaka-u.ac.jp

 

 (7)宿命本能←人は変わらない、文化は変わらない、国は変わらないという宿命論を信じる傾向。冒頭では、投資会社から依頼されて英国の富裕層に対してアフリカの可能性について説明した後、聴衆の一人から「説明は分かったが、アフリカはダメ。軍の仕事でナイジェリアにいたから分かっている」と言われて脱力する筆者自身が描かれます。その上で、筆者の故国であるスウェーデンの文化の変化(亭主関白で頑固者のオヤジが普通な家庭からよりリベラルな家庭へ)を見ても、ゆっくりであっても文化は変わり得ることを述べます。他にも色々なエピソードはあるのですが、アフリカについて偏見なく議論をしてきた自分にも偏見や「上から目線」の態度があったことを発見するエピソードが印象的ですね。

 (8)単純化本能←「専門バカ」の話。また、筆者は、データは重視するがデータに縛られないようにしていると述べます。更に、「貧乏な国の中で最も健康」なキューバと「裕福な国で最も不健康」な米国を比べて、「国家統制」と「完全な自由経済」のどちらにも歪みがあると述べています。キューバの国家統制に歪みがあることは当然ですが、国全体として巨額の医療費を払っても所得に比して寿命が短い米国の自由さに歪みがあることも勿論です(そして、自由と規制の間のバランスを取ることは大変難しい。)。あと、これはメタ的な話ではありますが、筆者は、裕福さと健康度をグラフにした自分の指標についても絶対視していないようなところがあります。実のところ、韓国のように急速に発展した国の多くは統制社会でしたし、それは現在でもそうです(例:「明るい北朝鮮」とも言われるシンガポール等)。このグラフについても複雑な現実を見やすくする「単純化」の賜物ですからね。

 (9)犯人捜し本能←何らかの問題(例えば、操縦士の居眠りによる飛行機事故や粗末なゴムボートに乗った難民の溺死)が起こった時に、簡単に単一の原因を見つけて犠牲者を探すこと。それよりも、その問題が発生した真の原因を見つけようとすべきである。難民の溺死事件に関して言えば、EUの移民規制政策が真の原因であった等々。

 (10)焦り本能←困難な状況に直面して自分の心の中の「焦り」に突き動かされて、本質が見えなくなってしまう傾向。1980年代のモザンビークで原因不明の病気解明のため現地政府を支援していた筆者は、この病気が感染症かもしれないと考え、病気が発生した地域への道路の封鎖に賛成してしまいます。しかし、この道路封鎖のため、無理をしてぼろ船で都会に向かおうとした村人が船の転覆によって溺死してしまいます。筆者はこの事件を35年も気に病んできたとのことです。何故なら、この病気は感染症ではなかったからで、道路封鎖は全く必要がなかったのです。

 

4.所感/建設的批判?

  このような知的キャパシティの大きな著作は巨大なミラーボールのようなものです。ですから、全体を把握して感想を述べることは難しいです。ましてや、建設的批判をすることも難しい。

 

f:id:UpAndDown:20190422224644j:plain

 

  ただ、この本が大変な労作であることは間違いありません。残念ながら、「筆者」のハンス・ロスリング氏はこの本の出版を待たずして膵臓癌で死去したわけですが、この本はお嬢さん夫婦で書かれた巨大な墓碑銘であると言えます。そして、巨大な球体が様々なものと接することができるように、この本からは色々な発想や着想が生まれそうです。

 この本が終章で述べているように、この本を契機にして「レベル4」にいる我々がどのように発展してきたかを振り返ることは当然ながらできます。この本の訳者が述べているように、「本能」をどのように御するかについてのメモを懐に忍ばせて、自分が世界を見る目が歪んでいないか確かめ続けることも可能でしょう。

 この本を読んだ後で、ある友人と中南米について話をしました。以前から疑問に思っていたわけですが、中南米の国は、「11の国のアメリカ史」で描写されたアメリカの各ネーションのように異なっているのかと質問しました。

upanddown.hatenablog.jp

  友人:「中南米ではほぼ純粋に白人の国と言えるのは、アルゼンチン、ウルグアイ、チリしかない。」「中南米の国の違いは、スペインのどの地域に来たか、どの程度先住民と通行しているかなどの要因の違いである。」「米国への移住者のように、新天地を良い国にしようとして移民した(注:「美しい誤解」です・・・)のと違い、中南米に移住した欧州人は先住民を殺して搾取しようとしただけだ。そのDNAは現在でも残り、中南米の不安定さ・治安の悪さに繋がっている。」

 

 下線部分は、「宿命本能」がもたらすバイアスでしょうか?それとも正しいのでしょうか?以前であれば、耳を通り過ぎるだけのコメントにひっかかり、新たな疑問が生じます。このように、新たな疑問を惹起させてくれるのが良い本だということなのでしょう。「FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」は、今後とも味読していきたいと思いますし、拙ブログの読者の皆様にも立ち読みなりともお勧めしたいと思います。

 

 長々となりましたが、お立ち寄り頂きありがとうございました

 

 

 

  

【ブログ運営報告】初心忘れるべからず!過去記事を色々リライト中(●´Д`)ε`○)(「ブログ運営報告」カテ:その1・・・)

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、為になる記事と素晴らしい本が読めれば幸せです。

 

 1.初心忘るるべからず!

 さて、恥ずかしながら拙ブログ、100記事超えは既にしていますが、アクセス数が中々伸びません(泣)。ちょっとバズって閲覧数及び読者数が急増したことがあるのですが、その後は閑古鳥ということで、将来の「図書館ブログ」にするにはまだまだ力不足です。

 ということで、そこは「初心に帰る」ということで、クロネさんのブログを再訪してみました。すると・・・

 

kurone43.com

 「あなたは最初の「ブログ初心者が最初の10記事を書くときに守るべき3つのこと!」すらできていません。

記事タイトルにキーワードが入っていないからです。

入っていると思っているなら、そのキーワードで検索してみてください。

あなたの記事はどこに表示されますか?

上位にある記事はなぜ上位だと思いますか?

実は、10段階100記事講座は、1番目が1番難しいのです。

記事タイトルにキーワードが入っていなければ、誰がどうやってあなたの記事を見つけるのでしょうか?

さあ、10段階100記事講座で、あなたのブログ記事を磨き直してください。」

 と書いてありますね!(汗)

 

 ということで、「100記事講座」の「10記事」(本当の最初の最初)に戻ることにしました!

 

kurone43.com

 この記事のポイントは、 

        ①最初から完璧を目指すな!/②記事タイトルに2つのキーワードを含めろ!/          ③見出しにも1つのキーワードを含めろ!ということなんですね・・・

 実際、自分のブログ記事を見ていると、できていない、できていませんよ。拙ブログの読者になって頂いて、また、記事更新にスターを付けて下さる方々のご厚意に報いるためにも、できるだけ多くの人に見られるような「図書館ブログ」にしなくてはならないと思います。その為、今後、一時的に新たな記事の作成・投稿回数が少なくなるかもしれませんが、過去記事のリライトをしていきたいと思います。

 

2.第一段階のリライト:見出しを付けて、内容を深めてみる

  まずは、見出しをきちんと付けることから始めます。基本的に、最近の幾つかの記事以外は見出しのないものがほとんどですからね。基本的には急いで書いたものばかりですからね。記事タイトルに二つのキーワード、見出しにも一つのキーワードということですから、これも心掛けることにします。(実際、これらが検索されやすいキーワードかどうかは今後検証して、更なるリライトをしますが、それは今後の段階ですね。

 勿論、タイトルや見出しのみでなく、内容も補足していきます。その後に読んだ本などに言及することなどはNGですね。

 

3.リライトしてみた記事

 今回は、「ブログ運営報告」(1)及び(2)をリライトしてみました。

 

upanddown.hatenablog.jp

 

upanddown.hatenablog.jp

 

 できればご一読頂いて、もし、宜しかったら感想など頂ければ嬉しいです!

   

4.結果:今後、アクセス向上などにそれなりの改善があったら、報告するかもです・・・

 

 拙ブログにお立ち寄り頂き、ありがとうございました! 

 

 

 

【日本酒の世界に酔いしれる】(46盃目)新宿三丁目「know by moto」20190415

    こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい新聞記事と本が読めれば幸せです。

1.新しい呑み屋発掘:新宿三丁目「know by moto」

  今回伺ったのは、このお店でした。

tabelog.com

  ある割烹で邂逅した酒のセミプロのような某氏から教えてもらいました(某氏からは、「自分の名前を出してくれ」と言われたので出してみたら、男性マネジャーは知っておられましたね。一杯出たわけではありませんがww)。立ち飲みではありませんが、年中無休で11:00から呑ませてくれるということです。内装は大変おしゃれですね。カウンター10席程度とテーブル席20席程度。「ロ」型になっているテーブルには囲炉裏をイメージした火が灯っています。客層は20~30歳代のカップルが多いです。シニアな一人のみもありですね。

 美しすぎる立ち呑み屋、代田橋「しゃけスタンド」ほどではありませんが、「美しい」店ではあります。


2.呑んだ酒たち

 一杯目! 福島「会津中将特別純米うすにごり生酒。「うすにごり」だから、当然、10段階で3.香りはあります。しかしまあ、何だという感じです(←個人の感想です。)。

f:id:UpAndDown:20190417002118j:plain

 

f:id:UpAndDown:20190417002152j:plain

 

 二杯目!これも福島「写楽」。色は0.25。香りはほとんどなく、呑んだ時の鮮烈さで攻める酒です。喉越しの良さは特筆すべきです。

f:id:UpAndDown:20190417002231j:plain

 

 

f:id:UpAndDown:20190417002303j:plain

 

 三杯目(と四杯目)!「裏・神蔵(かぐら)」。これが今回の最高の一杯ですね。色は10段階で3.きちんと嗅ぐと香りがあるのですが、目立った香りがないです。大吟醸であるにも拘わらず、こってり感があります。そして、二口目にはいろいろ指すものがありますが、全然不愉快ではありません。面白いのは、ラベルに情報が多すぎるだろ!っていうところですね。それはともかく、香、味、強さ、ラベルなどで楽しめる酒でした。これはお勧めしたい

f:id:UpAndDown:20190417002531j:plain

 

f:id:UpAndDown:20190417002600j:plain

 

f:id:UpAndDown:20190417002656j:plain

 

3.まとめ

 良い店でした。酒の品ぞろえが良い。つまみもいい(「日本酒原価酒蔵」の居酒屋メニューよりも何倍かよい)ですね。個人的には、是非、再訪したいですね。

 

 雑ですが、取り敢えず!お立ち寄り頂き、ありがとうございました!

 

 
 



















































































































































































































































































































































































































upanddown.hatenablog.jp

  良い酒を呑まそうとするところは、「しゃけスタンド」に似ています。また、従業員に酒を選ぶ権限があるところも似ています。しかし、仮に自社保有物件でないのであれば、新宿三丁目では借料が大変だろうなあと思います(「余計なお世話」ですねww)

【時事英語に学ぶ】偽クイズ王の死と米国保守派の道義的退廃(20190412NYTオピニオン)

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい新聞記事と本が読めれば幸せです。
 
  1. 記事:トランプと「恥」の絶滅(原タイトル仮訳)

     さて、今回は、「やらせ」で活躍した米国の偽TVクイズ王の死を題材にして米国保守派の面々(=トランプを支持する共和党の面々)を批判するブレット・スティーブンス氏のオピニオン記事を紹介します。 

www.nytimes.com

 

 ブレット・スティーブンス氏というと、以前はこのような記事を取り上げました。 

upanddown.hatenablog.jp

  ブレット・スティーブンス氏の特徴は美文調だと思います。この種のオピニオン/エッセイの定型である最初は具体的な事例を取り上げ、そこから抽象するというスタイルも取っていて、それなりに読みやすい。

 また、基本的には中道でトランプ嫌いだと思いますが、現政権の政策は是々非々で評価するということでしょう、以下の記事のように。 

upanddown.hatenablog.jp

 

2.偽クイズ王、チャールズ・ヴァン・ドーレン氏

  このオピニオン記事で話の枕に取り上げらえているのは、先ほど93歳で死去したチャールズ・ヴァン・ドーレン氏です。4月10日付のNYT訃報記事は、こういったものです。最近話題になってそれなりに知名度がある人物を取り上げるのは機敏です。

 
www.nytimes.com

 1957年から58年の間、NBCの「21」というクイズ番組に出演した際には、ニューヨーク州コロンビア大学の英語学の講師でした。英国で数学の修士号を取った後にコロンビア大で英語学の博士号を取った人物です。この記事の中にも書かれていますが、チャールズ・ヴァン・ドーレン氏の一族は文学面では大変に高名な人物が多く、父親を含めて各種の作品でピューリツァー賞を受賞している人物が複数います。

 ヴァン・ドーレン氏が「21」に出演することになったのは、共通の友人を介して知り合った同番組のプロデューサーから出演を勧められたからということです。好感尾の持てる風貌、大学講師であるという知性等々から適切だっただろうということですね。なお、1957年という時代だと、ヴァン・ドーレン氏のようなそれなりに裕福な家庭の子女でもTVを持っていなかったそうです。

 ヴァン・ドーレン氏は博識さを「21」で遺憾なく発揮し、しかも、躊躇したり等々の表情を出してということで、高視聴率を記録したこの番組の寵児になったわけです。しかし、その活躍し過ぎから大きな疑念が生じ、マスコミ、警察、連邦議会などでの質問を浴び、最終的に不正を白状してしまいます。つまり、前もって答を与えられていた、演技指導を受けていたという不正です。一例として、黒海について①海峡の名前、②黒海に付属している小さな海、③面している国を答えよという問いにも答えていたというのがありましたが、今での自分の国の位置や形が分からないのが国民の3分の1と言われている米国ではちょっと突出し過ぎていたんでしょうね。

 結果ヴァン・ドーレン氏は、NBCとの「契約」(出演者が契約しているのは何かおかしい感じがしますが・・・なお、担当プロデューサーなども解雇されました。)を破棄され、大学での職を失い、匿名での著述で食いつないだ後、出版社に就職して1982年に引退しました。その後、何冊かの本を出版したのですが、「21」事件については語ったのは2008年の「ニューヨーカー」誌でのインタビューのみだということです。若くて無知であった故の過ちを「恥」として長く保って生きてきた人物であるという印象ではあります

 あるいは、そのような印象を筆者が持たせようとしているのでしょう。映画などのエンタテインメントと同様、このようなエッセーでも、善玉と悪玉は必要ですから。

 

3.今回の記事概要と試訳

 今回ブレット・ティーブンス氏は「恥」を知っていたチャールズ・ヴァン・ドーレン氏に比べて、倫理的・道義的な失敗を犯した人間が開き直るか、あるいは嵐が過ぎ去るのを待ってTVなどで稼ぐ最近の米国の風潮を「否」とします。また、このような米国人の典型であるトランプ大統領を掣肘しようとしない共和党関係者を批判します。これにはちょっと無理な感じがしないではないのですが、ともかく、スティーブンス氏の文章を見てみましょう。

 ヴァン・ドーレン氏が「やらせ事件」判明後の60年間を静かに過ごしてきたことを称賛しつつ、このように述べます。

  

 The contrast between then and now is worth pondering in the Age of Trump — an age whose signature feature isn’t populism or nationalism or any other –ism widely attached to the president. It’s the attempted annihilation of shame. Shame is neither sin nor folly. It’s what people are supposed to feel in the commission, recollection or exposure of sin and folly.

 In days bygone, the prescribed method for avoiding shame was behaving well. Or, if it couldn’t be avoided, feeling deep remorse and performing some sort of penance.

 By contrast, the Trumpian method for avoiding shame is not giving a damn. Spurious bone-spur draft deferment? Shrug. Fraudulent business and charitable practices? Snigger. Outrageous personal invective? Sneer. Inhumane treatment of children at the border? Snarl.

 Hush-money payoffs to porn-star and centerfold mistresses? Stud!

 

(試訳1)

 往時と現在の対比をトランプ時代に考えるのは価値があることだ。トランプ時代の特徴は、多くによって大統領に貼られたポピュリズムナショナリズムやその他の何とかイズムなどというものではない。この時代の特徴は、恥を絶滅させる試みである。「恥」は 倫理的な罪でも馬鹿げた過ちでもない。恥とは、倫理的な罪や過ちを犯し、回顧し、あるいはさらけ出す際に感じるべきものである。

 遠く過ぎ去った時代に定められていた恥を避ける方法は、適切に振る舞うことであった。また、恥が避けられない場合には、深い悔恨の念を感じ何らかの形での辛い謝罪をしなくてはならなかった。

 対照的に、トランプ的な恥の回避法とはそんなことは気にしやしないというものだ。踵の骨の偽診断によるによる徴兵忌避だって?肩を竦めて、それが何か。ビジネス・慈善事業での不誠実な慣行だって?せせら笑って、それが何か。受け入れがたい個人攻撃をしているだって?蔑みを露わにして、それが何か。国境での子供を非人道的に扱っているって?声を荒げて、それが何か。

 ポルノ女優と袋綴じグラビア女に口止め料を払ったって?お盛んだね

                     (試訳1終わり。太字・下線は引用者)

 

 中々面白い表現ですね。ここまでぶっ飛んでいるとすがすがしい。Sで始まる動詞でトランプ大統領側の恥知らずな言動への反応を示して、最後は段落を変えてというのも面白いですね。まあ、このような表現でのトランプ攻撃は、ハニティとかランボーの反発するところでしょうが・・・このような恥知らずの行為をしても大丈夫なのは神経(nerve)が丈夫だからね、とトランプにジャブを売りつつ、ヴァン・ドーレンと最近の「恥知らず」との対比に移ります。

 

 Will the cheaters of today — think of Jussie Smollett or Felicity Huffman — feel the same kind of self-reproach in 10 or 20 years? Hard to say, though I doubt it. Smollett, who was accused of staging a hate crime against himself, expressed no contrition after all the charges against him were curiously dropped and his court file sealed. Huffman did better by pleading guilty in the college-admissions cheating scandal, and will surely have to lay low for a while. But a comeback story — polished, perhaps, by a teary TV confessional and a tastefully publicized journey of self-discovery — surely awaits her, and maybe Smollett, too.

 It was once the useful role of conservatives to resist these sorts of trends — to stand athwart declining moral standards, yelling Stop. They lost whatever right they had to play that role when they got behind Trump, not only acquiescing in the culture of shamelessness but also savoring its fruits. Among them: Never being beholden to what they said or wrote yesterday. Never holding themselves to the standards they demand of others. Never having to say they are sorry.

 Trump-supporting conservatives — the self-aware ones, at least — justify this bargain as a price worth paying in order to wage ideological combat against the hypostatized evil left. In fact it only makes them enablers in the degraded culture they once deplored. What Chicago prosecutor Kim Foxx is to Smollett, they are to Trump.

 

(仮訳2)昨今ズルをする人間はどうだろうか。ジャシー・スモレットやフェリシティ・ハフマンについて考えてみよう。彼らは、(ヴァン・ドーレンと)同様な後悔を10年あるいは20年後に感じるのだろうか?いわく言い難い。しかし、疑わしい。スモレットが非難されたのはやらせの自分へのヘイト犯罪を仕組んだからだ。スモレットは、全ての嫌疑が何故か取り下げられ法廷記録が封印された後、反省の意を明らかにしなかった。ハフマンは大学不正入試事件の罪状認否で罪を認めたのはましで、しばらくの間は姿勢を低くしていなければならないのは決まり切っている。しかし、カムバックの物語が待っていることも決まり切っている。 おそらく、涙をたたえたTV業界のプロと上手く味付けされて宣伝される自己発見の旅によってきらきらになったカムバック物語がハフマン、それにたぶんスモレットも待っている。

 かつて、保守派の有用な役割はこのような趨勢に抗うことだった。それは、劣化する道義的水準に反して立ち、「やめろ」と叫ぶことであった。保守派は、そのような役割を演じなくてはならないという立場を失ったが、それは、トランプの支持をすることにした時である。それは、恥知らずの文化に屈したということのみならず、その文化の果実を味わっているということでもある。例えば、昨日の発言や書き物に縛られないということだ。他に要求している基準に縛られないことだ。そして、決して謝罪しないことだ。

 トランプ支持の保守派、少なくともその自覚がある保守派は(恥知らずの文化に屈するという)この取引を正当化して、これは支払う価値のある代償で、これをもってして悪として実体化した左派にイデオロギー上の戦闘を挑むのだと言うのだろう。実のところ、この取引は、彼ら自身がかつて忌み嫌った劣化した文化を可能とする存在に保守派を変えたののみである。(スモレットへの嫌疑を取り下げた)シカゴの検察官キム・フォックスがスモレットに対するのは、保守派がトランプに対するのと同様である。.

                      (仮訳2終わり。太字は引用者による)

 

4.感想

  散々な言いようですw 筆力のある人間が遠慮なく書くとこのようなことになるんでしょう。まあ、気持ちは分からないではありません。しかし、道義の衰退ってトランプに始まるんでしょうか?何か印象操作的に、「すべてトランプが悪いんや」と言っているようにも見えるかもしれません。民主党の大統領候補が乱立している状況では、やはり、論ずるべき、攻めるべき対象は、幸か不幸かトランプ大統領ということになるんでしょう。

  しかし、現在の米国での「恥の絶滅」というのは、一部有名人や共和党保守派の責任にのみ帰すことができるものなんでしょうか、と個人的には疑問を持ちますね。「ある国民はその資質以上の政治家を持つことはできない」という、使い古しの1000円札のような表現がありますが、似たような感触を持ちます。スキャンダルにまみれた有名人の「カムバック物語」に需要がある限り、メディアはそのような物語を供給するでしょう。また、トランプ大統領支持者も、自分たちの姿勢を党派的な支持者が唾棄しないことを知っているということでしょう。だから、この種の有名人・政治家批判は「天に向かって唾を吐く」ことに陥るおそれがあるなという感じですね。

 

  以上、こんなところです。お立ち寄りいただき、ありがとうございました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

【たった一人のビブリオバトル】佐藤忠男「黒木和雄とその時代」

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。

 昨夜、「エッセンシャル思考」を通読したのに続き、今朝(4月9日)は、相当昔に買った佐藤忠男黒木和雄ととその時代」を改めて通読しました。著者の佐藤氏は、1930年生まれの映画評論家であり、この本は2006年の著作です。この本のゲラチェックをしている時に黒木監督が急死したということです。 

父と暮せば

父と暮せば

 

  本は、アマゾンで出てきませんので、黒木監督晩年の代表作を・・・。 

 この本は、黒木監督と同世代である佐藤氏が黒木監督の映画界の系譜を代表作に触れつつ紹介していくというものです。「その時代」というのは、同年代の佐藤氏の時代でもあります。すなわち、「軍国少年」として育ち、敗戦とその後の混乱を経験し、インテリ青年のご多分に漏れず内外の左翼思想に憧れるかあるいは実際に行動して更に失望したという「時代」です。

 黒木監督の経歴はこのような感じですね。

 

ja.wikipedia.org

 ウィキを読んでしまうと、この「黒木和夫とその時代」を読まなくとも済んでしまうということになってしまうのですが、やはり、1930年という同年齢の映画評論家が書いた本には独特の匂いのようなものがあります。黒木監督の経歴は、岩波映画でPR映画を撮ることに始まり、ATGでの活動を経て、独立派の制作活動を経つつ、最終的には、「Tomorrow/明日」、「美しい夏キリシマ」、「父と暮らせば」及び「紙屋悦子の青春」という「戦争三部作」(あるいは四部作)で終焉を迎えるというものです。

 これら「戦争三部作/四部作」は、岩波映画において単なるPR映画に収まらないPR映画を描き、左翼や共産主義に対する幻滅が広がるまでの「革命近し」という(ソ連崩壊後の世界に生きている我々にとっては理解が困難な)時代精神の中で「キューバ革命」や「原子力戦争」を撮ってきた黒木監督が冷戦後の世界で折り合いをつけた作品であると思います。

 以上、とりあえっずっす!

 

 

 

 

【たった一人のビブリオバトル】「エッセンシャル思考」

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。

 今回は、クロネ師匠のブログで紹介されていました。「エッセンシャル思考」を一読しましたので、感想をアップします。

エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

 

  良くあるノウハウ本の一つであるとカテゴライズしても構わないと思います。重要なのは、カテゴライズやレッテル貼りではなく、いかに役に立つかということですから。当然ながら原書は英語で、恐らくはある程度大部だったんではないかと思いますが、訳語がこなれており、頭に入りやすいですね。

 この本では、「エッセンシャル思考」と「非エッセンシャル思考」が繰り返し並列しています。では、「エッセンシャル思考」とは何かと問われたら、その一面は、人生の「目的」を達成するために、無駄を排するための生きるための思考・技術です。

 このような本が必要なのは、現代社会では有能であるにせよ、必ずしもそれほど有能でないにせよ、自分で選択せずに無駄なことをすることを強いられているからです。いつの間にか、我々は適切に「選択する自由」を奪われてしまっているのです。

 米国の企業社会も日本と同様、ある意味では日本以上にワーカホリックです。この本ではある「パラドックス」が語られているのですが、ある企業に有能な人材がいるとします。この人は、正しい道を進んで大いに成果を挙げているとします。すると、その上司も同僚も部下もその人を頼みにして色々な仕事を依頼してくるし、更には社交にも誘ってくる。有能で社交性もあるからして、そのような依頼などを受け入れていると、身動きが取れなくなってしまいます。

 このような「パラドックス」に陥るのを防ぐためには、「断る力」が必要です。また、多くの無駄が存在するネットにからめとられないためには、敢えてネットに触れない時間を作る、孤独に耐えて読書や思索をする時間と場所を確保することが必要っだと筆者は説きます。この本では、「七つの習慣」のスティーブン・コヴィーが娘との約束を守るために仕事の依頼を断るというエピソードが語られていますが、自分の人生の「本質」を守るためには勇気を出して断ることが重要だと説きます。 

完訳 7つの習慣 人格主義の回復

完訳 7つの習慣 人格主義の回復

 

 この本の中で、家に四つのガス台があるとしてその内の一つを消すことがベターであればそれをためらうべきではないという記述があります。そして、3つよりも2つの方がベターかもしれないというのが更に筆者が説くところです。この本で繰り返し説かれれるのは、「無秩序な拡大」は機能しない、「真の目的」(そして、それは刺激的かつ具体的でなくてはなりません)を意識して、より少ないことをよりよく行うことです。その一つの例として、「すきやばし次郎」の小野さんについて描いた「二郎は鮨の夢を見る」が言及されているのは日本人としては興味深いことです。 

二郎は鮨の夢を見る

二郎は鮨の夢を見る

 

 

 雑然とした文になりました。中々良い本です。今後、補足するかもしれませんが、取り敢えずのご紹介です。

 

【時事英語に学ぶ】イスラエル総選挙直前!20190405NYTオピニオン

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、素晴らしい本が読めれば幸せです。時事英語からも学びます

 前回記事はこんな感じでした。英国はどこに向かうやら。

 

upanddown.hatenablog.jp

 今回はイスラエルです。来週、同国では総選挙が実施され、10年以上に亘って同国政界で重きをなしてきたベンジャミン・ネタニエフ首相に汚職疑惑が出ており、今回の選挙では同首相が率いる与党リクードが敗北するのではないかとの報道がよく見られます。勿論、ネタニエフ政権のイスラエル経済への貢献は大きなものがあります。読売新聞は数回に亘って「イスラエル争点の現場」という短期特集記事を書いていますが、4月6日付の最終話では、「ハイテク等への投資でイスラエルが大きく成長しつつも、貧富の差が拡大している」 というトーンになっています(2017年のイスラエルへの海外投資は過去最多の189億ドル。一人当たりGDPは41,180ドル)。今回取り上げるNYT常連コラムニストブレット・スティーブンス氏のオピニオン記事では、イスラエル社会に内在する幾つもの分断が語られていますが、約1120億円をハイテク関連企業に投資した富豪と平均月収(約30万円)以下で生活する7割の国民の間の分断というものもイスラエル社会にはあるのでしょう。

 この読売新聞記事末尾では、「野党の中道統一会派『青と白』を率いるガンツ参謀総長は、政府が格差対応を怠っていると批判した上で、『一部に独占された市場を国民に開放していく』と訴え、支持を集めている」との記述があります。今回のブレット・ティーブンス氏の記事は、ガンツ氏とのインタビューを含めてのものです。なお、前回、スティーブンス氏のオピニオン記事を取り上げた拙ブログの記事は以下の通りです。

 

upanddown.hatenablog.jp

  なお、今回、イスラエルを取り上げるは、この読売新聞の特集記事を読んだことが契機になりました。ルポ的な記事の常道は、視覚にも訴えるエピソードが配され、その後、事実や分析が追加されるというものですね。この読売新聞記事は、この常道も押さえてあり、大変読みやすいものでした。この目で見てみると、スティーブンス氏オピニオン記事も同様ですね。

 閑話休題

 

www.nytimes.com

 

 タイトル仮訳は、「ユダヤ人の記憶とイスラエル総選挙/ネタニエフ首相への対抗馬が勝利に値する理由」としておきます。この記事はまず、激戦の総選挙戦の中で、1982年に戦死したイスラエル軍下士官の遺体回収のニュースから始まります(記事の中では、選挙戦中の遺体回収は現職のネタニエフ首相の有利に働くのではないかとの観測に対して、筆者が否定的なのはインタビューを通じてガンツ氏にほれ込んだところがあるのかもしれません。)。1982年と言えば、イスラエルレバノン侵攻を行った年です。次いで、筆者はイスラエル国家について思いを馳せます(前回の対イラン制裁の記事を見れば、筆者が親イスラエルであることは明確ですが、この数パラは中々の名文と言えます。)。

  There are things that matter more. Keeping faith with the fallen and bereaved is one of them.

  Anyone who has lived in Israel gets this. It’s a young and improvising state resting atop an ancient and profound civilization. At the heart of the civilization is common memory. Elections come and go; memory accretes. It is to everyday life what geology is to flora and fauna: grounding, shaping, slow-moving, still-growing. Memory is the true land of Israel.

  The Israeli government spent 37 years tracking Baumel’s remains to Syria and negotiating their recovery through Russia. The country will expend similar efforts to bring home other fallen soldiers held in enemy hands. It’s the core of the Jewish state’s social contract. It may not be able to keep its people safe, much less make them rich. But it will never forget or forsake them.

 

(仮訳1)物事にはより重要なものがある。(戦場で)倒れて亡くなった兵士に敬意を払うことはその一つである。

  誰でも、イスラエルに住んだことがあればこの敬意を得る。イスラエルは若く、常に試行錯誤を行なっている国であり、長い歴史を有する深遠な文明の上に納まっている。この文明の中核にあるのが共通の記憶である。選挙は通過していくものであるが、記憶は堆積する。記憶が毎日の生活に対するのは、地質が動植物に対するのと同様である。地を作り、形成し、緩慢に動き、緩慢に成長する。記憶はイスラエルの国土である。 

  イスラエル政府は37年間を費やして、バウメル軍曹の遺体の行方をシリアまで追いかけていき、ロシアを通じてその回収について交渉した。この国は、死亡して敵の手に落ちた兵士を故国に取り戻すために同様の努力を払うことにしている。これは、ユダヤ国家の社会契約の核心である。これは、イスラエル国民を安全にするものではないかもしれない。豊かにするものでは更にない。しかし、イスラエルは亡くなった兵士を忘れること、あるいは、見放すことは決してない。

                (仮訳1終わり。下線及び太字は引用者による。)

 

 センチメンタルな香りもする文章です。元々親イスラエルな米国人はこのような文章に大いに感銘を受けるでしょうし、そうでなくても一定の感銘を受けるでしょう(ただ、逆に反ユダヤイスラエル的な人々にとっては唾棄すべき文章かもしれませんね。)。訳でやや難しいのは、「improvising」でしょうか。ジャズ音楽の「即興」や手テロリストが製造して使うIEDの「即席爆弾」を使う訳にもいきません(「即席国家」?)。1948年の建国以来のイスラエルの生きてきた道(そして、現在も未来も)は、激動する環境の中で創意工夫して生き残り繁栄するための絶えない努力に基づくものであったことから、完全にぴったりするか分かりませんが、「常に試行錯誤を行なっている」としてみました。どうでしょうか。

 さて、スティーブンス氏はワシントンで「青と白」(イスラエル国旗をイメージしたもののようですね)を率いるガンツ参謀総長にインタビューしたとのことです。こういう人ですね(ウィキ日本語版はできていないようです。)。

 

en.wikipedia.org

 スティーブンス氏はガンツ氏に好印象を持ったようで、インタビューにそれほど注目すべき点がなかったことにも気にしていないようです。よくいるイスラエル人の特徴という自信があり、要点をすぐに述べ、しかも偉ぶらないという態度にも高得点を与えます。それでも、ガンツ氏の応答の中で注目すべき点を幾つか述べています。それらは、ネタニエフ首相への評価/同氏との連立の可否、パレスチナ国家、ユダヤ教キリスト教イスラム教への平等な礼拝の場所を与えることの可否、パレスチナについてのイスラエルの安全保障上のニーズ、対米関係等について質します。

 筆者は、ガンツ氏への質問の一つを最重要なものと考え、そこからガンツ氏と同様ネタニエフ首相の功績を認識しつつ、地域の敵国が一致して当たっても打ち勝つことができないほど強力なイスラエルの現在の問題は対外関係ではなく、国内での分裂であると論じます。ちょっと長いですが、リズムのある結論部分ですのでまとめて訳します。

 On what distinguishes his party from Netanyahu’s: “We have left and right; religious and secular; Druse; ultra-Orthodox women. Unity is very important. We cannot agree on everything but we must agree on the framework. … Netanyahu currently lives off this separation [between various Israeli groups]. I’m talking about my priorities, but I’m talking to everyone. He’s appealing to his base.”

 That last observation is the essential point. In many ways, Israel has defied expectations and done remarkably well over the past decade. Much of this has been Netanyahu’s doing.

 But it has come at the cost of increasing divisions between Israeli and American Jews. And intense divisions between Orthodox and non-Orthodox Jews. And embittering divisions between Jewish and non-Jewish Israelis. And between the hard-right and everyone it deems a sellout — an ever-growing group when one practices the politics of loyalists versus traitors, as opposed to the politics of friends and potential friends.

 None of these quarrels are about Israel’s enemies, who are real, deadly, and growing in number. But the quarrels have become enemies in themselves. Israel is powerful enough to defeat any of its regional adversaries, in almost any combination. It can survive the challenge of the Palestinians and binationalism, too. Whether it can survive its own descent into sectarian and ideological tribalism is another matter.

 

(仮訳その2)

 「青と白」党がネタニエフ首相のリクード党と相違する点について。「『青と白』んには左派も右派も存在する。宗教的な者も世俗的な者もいる。ドゥルーズ派も、超正統派の女性もだ。連帯が大変重要だ。我々は逐一同意できるわけではないが、フレームワークには合意しなくてはならない...。ネタニエフ首相は現在、様々なイスラエル内の集団の分離に依存している。私は自分の優先順位について話している。しかし、私は全ての人々に話す。ネタニエフ首相は自分の支持基盤にアピールしている。」  

 この最後の観察は、最重要のポイントだ。多くの場合、イスラエスは期待に打ち勝ち、過去10年間特筆すべき成果を挙げた。その成果の多くはネタニエフ氏によるものである。

 しかし、この実績は、イスラエルと米国のユダヤ人の更なる分裂というコストを払ってのものである。また、伝統的なユダヤ人と非伝統的ユダヤ人の間の分裂もある。苦い感情を喚起するユダヤ系と非ユダヤイスラエル人の間の分裂。そして、強固な右派と彼らが寝返り者とみなす全ての人間との間での分裂である。成長しつつあるこのグループでは、忠誠心ある者と裏切り者という政治を行い、友人と潜在的な友人を想定する政治には反対するのである。

 いかなるこれらの争いもイスラエルの敵に関するものではない。イスラエルの敵は現実的であり、極めて攻撃的であり、数が増えている。しかし、これらの争いはイスラエル国民の中の敵についてのものである。イスラエルは強力であり、地域の敵対勢力がどのような組み合わせを取っても打ち破ることができる。イスラエルは、パレスチナ人とニ国主義の挑戦を受けても生き残ることができよう。イスラエルが分派的・イデオロギー的な部族主義への自分たちの転落の中で生き残ることができるかは別問題である。 

                            (仮訳その2終わり)

 

 いよいよ明日はイスラエル選挙です。4月8日本邦紙朝刊では、与党連合有利との観測です。その国のサイズに似合わない国際的存在感を有するイスラエル。その動向に今後とも注目していきたいと思います。

 お立ち寄りいただき、ありがとうございます!