【たった一人のビブリオ・バトル(速読図書館1冊目)】7冊読んでみた・・令和元(2019)年5月3日

 こんにちは(こんばんわ)。アップアンドダウンです。美味しいお酒を呑み、良い映画を観て、為になる記事と素晴らしい本が読めれば幸せです。

 皆様、初々しい令和の御代をどのようにお過ごしでしょうか・・・私は、記念すべき令和初日には某大寺で令和の御代の弥栄を仏さまに祈願申し上げた後、御朱印を頂きました。その後、明治神宮に向かったのですが、御朱印待ちの行列に心が折れてしまい、お参りをするのみでした(まあ、御朱印は本来おまけですからね・・・)。令和初の日本酒は明治神宮での振る舞い酒でした(これについては別途述べたいと思っています。)。その後は、更なるアルコールと友人との駄弁りと珍しくも長々とTVを観て「正月気分」を味わい、「三が日」ぎりぎりの本日(令和元年5月3日)、靖国神社に詣でて英霊に我が国の発展を祈願し、御朱印を頂きました。

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1.「速読図書館」サブ・カテゴリーを作ってみました

 さて、読書カテですが、「速読図書館」というサブ・カテを作ってみました。と言いますのも、本の読み方・買い方及び本からの学び方を変えてみたいと思ったからです。二つの本の読み方を混合させようと思います。

 第一に、味読すべきと考える古典をじっくりと味読する。これは、「エッセンシャル思考」でも推奨され、私も納得した読み方で、基本的に現在までの私の読み方でもあります。 

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  時の試練を経た「古典」を読むことは、私たちのバックボーンとなるものです。集中して読むにせよ、係る作品を走り読みしてどうなるというのでしょうか。

 第二に、現在の「古典」ならざる書店に溢れている本です。これらは、できる限り急速度で通読し、その内容を把握してアウトプットして、その価値を急ぎ評価すべきものです。その過程において、我々が読むべき古典が浮かび上がることもあるでしょうし、また、これらの「『古典ならざる本」を座右の書とすべきと判断されるかもしれません。

 第二の読み方をするには、資力や保存スペースが膨大でないなら、使いやすい図書館に通うのが実はいいのです。しかし、公共図書館は往々にして不便な場所にあって、頻繁に利用することが困難です。そこで、大型で、しかも、座り読みスペースがある書店が便利です。今回、このような書店が見つかりましたので、今後第二の読み方を実践して「速読図書館」を建てていきたいと思います。少しでも面白い本を紹介できればいいなと思います。

 

2.で、早速、7冊読んでみました

 今回、令和の三が日でむちゃくちゃ時間がありましたので、一気に7冊速読してみました。以下、その概要を述べていきたいと思います。大体、一冊15~30分くらい使いました。

(1)

 ノウハウ本ですが、内容はそれなりに盛り沢山。結論から言えば、予算さえあって、仕事に関係しそうであれば買うべき本かと思います。

 著者は、Yahooの社内大学でプレゼン技術について教えている人物とのこと。この本では、様々な局面においてビジネス・パーソンがどのようにプレゼンを行うべきかを論じます。事例は豊富です。

 テクニックとして重要なのは、「ピラミッド構造」。事実→根拠→主張と積み上げる構造です(繰り返し出てくるグラフィックは分かり易い。この本の中でも主張をグラフィックにするのは必須であると述べられています。)。表題にある通り、プレゼンは枝葉を省いて1分でまとめろという教えもあります。1分でまとめて言えないものは数時間かけても分からないものであるというのは、筆者個人の経験からも、プレゼン指導の経験からも導出される原則だということです。また、プレゼンをするに際してはビジュアルなイメージに 聞き手を引き込むべしという論も納得できると思いました。

 リーダーシップ論とも重なるところでは、会議のファシリテーターを務める際の心得があります。ここでも、単独でプレゼンする際と同様「ピラミッド構造」を使います。すなわち、会議までに意思決定のために考慮すべき全ての要素を出しておき、更に、実際の議論においてはその中で重要な要素に対する根拠を積み上げて決定事項としていく。ここでの例では、ある会社のCMキャラとしてどのようなタレントが良いかをランク、予算、目的合致性の要素で決定していくかが挙げられています。

 

(2) 

怒らないコツ──「ゆるせない」が消える95のことば

怒らないコツ──「ゆるせない」が消える95のことば

 

  これは、半分ノウハウ書、半分エッセーのようなちょっと緩い本です。筆者は学習院大を卒業後に資生堂に入社。独立後は「人生論」の研究を行っている人物。本書は、「アンガー・マネジメント」の本です。

 良寛からの引用が多いですですね。筆者は、「こだわらない」で怒らないことが最上の生き方であると主張し、その中で良寛の生き方を一つの理想としています。例えば、良寛宅に来て良寛の悪口を言いまくって帰った人について、この人が帰った後に雨が降ったことから「さっき悪口を言って帰った人は傘を持っていただろうか」と心配したといった挿話が紹介されています。他に、老子仏陀、「菜根譚」などが取り上げられています。

 実用的なテクニックとしては、怒りの原因となる事象があっても直ぐに反応しないdelay technique が紹介されています。また、「メタ認知」を高める、本に親しんで視野を広げることなどが勧められています。

 怒りは健康を損ない、人生を損なうものだとの基本的認識の下、様々なアンガー・マネジメントを勧める「実用書」ではあります。ただ、アンガー・マネジメントのテクニックを突き詰めた「実用書」でなく、アンガー・マネジメントに役立つことも言っている偉人の著作等を読む窓口のような本だと思います。結論としては、私のやったように通読レベルで済ましておいて買う必要はなく、むしろ、この本で引用している偉人等についての原典やより専門的な書籍を深く読むべきだと思いますね。

 

(3)

新装版 銀行支店長 (講談社文庫)

新装版 銀行支店長 (講談社文庫)

 

 TBS日曜夜10時からのドラマ「集団左遷」の原作本の一つです。

 主人公は、ドラマと同様に「片岡支店長」。やはり三友銀行の行員でして、フツーの支店の支店長から合併相手の信用金庫の「本丸」である飯田橋支店の支店長に横滑りします。 同期のライバルが辞表を出すほど運営の難しい支店です。時代設定はバブル崩壊からはそれほど時間が経っていない時期のようです。

 結果として、主人公は(半沢直樹とは違い)銀行を辞することになります。しかし、飯田橋支店赴任に当たっては、数名の三友系行員を引き上げさせ、腹心2名を課長職として動員して赴任します。

 片岡支店長は1000億円のノルマ(融資や預金量などをまとめてのもので、そのうちには企業の銀行振り込みなども含まれます。)をこなすために奮闘します。その中の最も大きな融資案件が、①田口るみビューティーサロン案件及び②三嶋食品案件です。しかし、①については、信用金庫系で片岡支店長に心を許していない真山次長(ドラマでは香川照之さんが演じています。)が完璧な融資稟議書(高額な美容器具を大量に購入するためのもの)を作成して本部に回したものの、その直後に田口るみ会長の「経歴詐称」等のスキャンダルがマスコミで報じられたために、稟議書は決裁されず返却されるという憂き目に遭います。 

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いや、これは大和田専務ですね・・・・

  ②の案件は、全共闘出身の社長と意気投合して事業拡大のための融資16億円が本部の決裁を通りました。しかし、融資実行後、同社社長は行方をくらましてしまいます。この手の詐欺話にはありがちですが、経理も粉飾されてましたね。

  この小説のサブ・ストーリーとして片岡支店長の娘(中学生)が登校拒否らしいといった話や弟の悟郎(写真家)の住宅ローンの話などがあるのですが、少なくとも前者については、片岡支店長が詐欺で取られた16億円を病を押して回収しようとするなかで、娘が父親を力付けるなかで解決していきます。会社を辞めざるを得ないほどのトラブルが却って家族の紐帯を固めるというのは皮肉な話です。

  バブル崩壊前でも、銀行業界でなくても類似のトラブルは大小問わずあったのでしょう。この企業小説はその一断面ということなのではないかと思います。肺炎を押してフィリピンに渡り、16億円を持って逃亡中の三嶋社長を捕えようとした片岡支店長に同行するのは、片岡支店長の苦闘を見て遂に心を開いた真山次長です。 

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いや、だから違う・・・

  フィリピンの現地法人等の協力を得て三嶋社長を補足した片岡支店長は帰国後病に倒れ、その後銀行を去ります。その後家族と共に米国に赴いた片岡氏は、今後の人生に闘志を燃やすのでした。買うべきかと問われれば、筆者のファンであれば買えばいいのではないでしょうかという感じです。

 

(4) 

日本が売られる (幻冬舎新書)

日本が売られる (幻冬舎新書)

 

  アメリ下流社会についての著作で知られる国際派ジャーナリストである筆者による新著。

 グローバリズム(「国家の枠を超えて暴れる経済」)進展の流れの中で、日本が守るべきものが侵されている危機感がこの本の基調になっています。そして、日本が守るべきものは、株主の利益増進を最優先の使命尾する企業(あるいは多国籍企業)に不当に売り払われていると説明します。

 その例として、水道事業(水源地)、農業、労働、漁業などを挙げます。また、前著等で取り上げられた米国における公設民営学校の惨状についても述べる。これらの産業等において「日本が売られる」のは、一部民間人と政府との結託によるもので、淡々と立法行為がなされる中で進んでいくことが個別に述べられています。また、遺伝子組み換え作物や一部の(枯れ葉剤類似の)農薬を例に挙げ、諸外国では既に規制が始まっているにも拘わらず、日本では却って規制緩和が進んでいる現状(いわゆる周回遅れでの規制緩和)に警鐘を乱打します。

 この本では、売り払われものを取り戻す動きとして、消費税を廃止したマレーシア・マハティール首相が一例として挙げられています。マレーシアにおいても過去、社会保障目的で消費税を上げるとしつつも、日本と同様、その実際の用途は不明瞭でした(日本については、消費税増税分は法人税減税分とほぼ同額であることを筆者は指摘します。)。また、イタリアの「五つ星運動。この政党は、元コメディアン等が設立した政党で、反NATOなどを掲げ支持を伸ばしてきました(日本ではたぶん、「極右政党」などと紹介されるのでしょうね。)。ネットでの意見を踏まえてのマニフェスト設定・候補者選定を行うなど、政策形成上の透明性を標榜します(もっとも、ネット世論偏重のため選挙で勝てないと、地方のカフェでの有権者との交流を通じてのバランスのよい世論の把握に努めているとのことです。)。更に、米国の主婦たちは、子供のためとなる発揮する「FBI並みの調査能力」をもって、遺伝子組み換え作物や農薬が子供のアレルギーや自閉症などの疾患への関係を糾弾しています(なお、遺伝子組み換え作物は、そう明確に表示されずに日本人の食卓にも忍び込んでいるというのが筆者の指摘です。)。日本でも、大阪では、橋下市長(当時)が推進しようとした水道事業民営化が議会によって否決されたことが挙げられています。これに加え、ロシア・プーチン大統領の食料完全自給化の取り組みをグローバル企業からの脱却にも触れられています。

 この本は、日本の今後について考えたいということであれば(賛否はともかく)購入を検討するに値する本だと思います。

 

(5) 

 筆者は55歳の元参議院議員早大商→慶応院→山一証券→米イェール大留学→政界(幾多の落選を経て自民党から出馬するも、現職議員として唯一民主党に鞍替えして落選)→シンクタンク客員研究員等。結論から言えば、立ち読みで十分。他の本を購入することを検討しましょう。バブル期に親のすねをかじって「モラトリアム」で大学院に進学し、その後山一証券M&Aで成果を挙げて留学、その後政界でばたばたと仕事をして現在は一種のフリーということなのですが、略歴を見てもこの本で書かれていることを見ても、一体何を成し遂げたいのか分かりません。

 「頭に来てもアホとは戦うな」というタイトルからはノウハウ本であるように見えます。この本を下敷きにした漫画版では、架空のコンサルタントが「アホ」な上司との人間関係に悩む外食産業の女性社員に助言して成功に導いているという造りになっています。しかし、この「原作本」では、「アホ」と戦わずに成果を出す「ノウハウ」はほとんど記されておらず、筆者の経験を踏まえてエッセーみたいな感じです。

 それでも、①「幽体離脱」(「アホ」の言動を受け流す)、②「関係の悪い人間に敢えて接触することで味方に引き込む」、③「非難しない・相手の利益を与える」等の手法が 紹介されています。政界でばたばた動いたことから、現場で見た大物政治家の月旦評には少々興味を惹かれます。菅官房長官にも触れらえていますが、一番評価しているのは青木幹夫氏のようで、「淡々と仕事をこなす人間が多くを達成する」という結論は、まあそれなりに面白いとは思いますね。

 この本も、上記(3)の「怒らないコツ」と同様、何らかのより濃い本や考えに導くための「窓」に過ぎないと思います。私が買いたいのは堅固な家で、窓だけではありませんからね。少なくとも、この本を読んで、デール・カーネギーを再読してみたいと思ったのは成果かなと思ったりします。

 

(6) 

毎月5000円で自動的にお金が増える方法

毎月5000円で自動的にお金が増える方法

 

 ノウハウ本の老舗、かんき出版の投資指南本ということですね。結論から言えば、投資に興味がある人であれば、買うのもいいと思います。私も結局買うかもしれません。「ノウハウ本」としては、今回読んだ本では、①「毎月5000円で自動的にお金が増える方法」= ②「1分で話せ」>③「怒らないコツ」>>>④「頭に来てもアホとは戦うな」というランキングになりますね。①の方が鼻差で一位かなと思うのは、よりビジュアルでより分かり易いからです(潜在意識やRASなどが書いてあるのは、自己啓発あるあるではあります。)。

 さて、筆者は両親がパキスタン人ではありますが、日本で幼少時から生まれ育った方です。元敏腕ディーラーであり、現在は投資コンサルタントですね。最後の方に書いてありますが、この本というのは最終的には筆者の投資セミナーに誘導することが一つの目的ではあります。筆者は極めて正直に、本当に投資家として成功したいのであれば、そのための投資を惜しんではいけないと述べ、成功例としてベトナム人投資初心者の例を挙げます。ベトナム人にとっては高額のセミナーに参加し、そこで学んだ手法を愚直に行うことで多くの成果を挙げているとしています。

 この本では、カネの本質を述べ、普通の貯蓄や住宅ローンを追っての持ち家購入が非合理的であると説きます。特に、持ち家購入は、結局は最終的には価値が下がってしまうモノに投資をしている不合理な行動であるとします。家計のバランスシートを考えれば、高額な住宅を買ってしまっており、カネを生まない投資をしていない家計は失格であるということで、いわば、「プアマインド」の産物であるというのが筆者の主張です。

 筆者が提唱するのは、「ウォーターフォール」理論です。家計の節約による冗費の捻出(=「安心」)から始まり、より本格的な投資(=「自由」の獲得)に向かうべきという考えです。この本の中では、シャンペンタワーで象徴的に描かれているのですが、最初の「安心」という段階が「満杯」になったら、次に、NISAでの少額投資(=5000円から始められます。この本のタイトルはここに起源があります。)を始め、それが満タンになったら更なる投資を始めるというのが筆者の説くところです。この段階は四つ提示されているのですが、最初の段階をクリアせずに先の段階に進むと必ず失敗することは筆者本人の投資の失敗から語られます。しかし、物事の筋道をきちんとたどれば、筆者の小さな息子でさえ、年率二桁の投資実績を挙げられると述べています。筆者は合理的・科学的な手法によって、失敗を乗り越え10億円の資産を得たと言います。「自由」であるためには十分な資産でしょう。

 この本は非常に戦略的に書かれています。あとがきの末尾においては、「あなたはこの本を読んだのだから、今までの考えにとらわれずに投資を始めてほしい。帰宅したらネット証券に口座を開設してNISAを始めるといった何らかの行動をしてほしい」といった意味のことが書いてあります。さすがはノウハウ本の老舗、かんき出版という造りだと思います。以前から少額投資については興味がありましたが、背中を押された気持ちになってますからね。

 なお、筆者は、両親が自分の教育に投資してくれたことを踏まえ、自分の子供の教育にも多大な投資を行なっています。「最高の投資は教育」という筆者の意見には私も賛同です。質の良い教育に1000万円投資すれば、それはあわよくば数十倍にもなって帰ってきます。筆者は単なる銭ゲバではないんですよね。 

銭ゲバ 上 (幻冬舎文庫 し 20-4)

銭ゲバ 上 (幻冬舎文庫 し 20-4)

 

 

(7)ふう、ついに最後です。 

絶望読書 (河出文庫 か 34-1)

絶望読書 (河出文庫 か 34-1)

 

 読書論は、日本人には常に人気です。最近、名前につられて斉藤孝氏の読書論を買ったのですが、「絶望読書」は普通の読書論ではないと思い手に取りました。しかし、アマゾンで「絶望読書」と検索すると筆者本人の本だけでなく山田太一氏の「絶望書店」などというのも出てくるので、「絶望」と「読書」って何らかの親和性があるし、一部の読書人の中では既に知られていることなのかもしれませんね。

 さて、筆者は「文学紹介者」というのが肩書です。面妖な。筑波大3年の時難病に罹った筆者は13年に亘り入退院を繰り返しつつの闘病生活を送ります。これは、「絶望」の状況です。筆者は、中高時代、「薄い」という理由で太宰やカフカの「絶望」小説を読んで読書感想文を書いた経験もあり、療養中はドストエフスキーの重い小説を読み、同じ病院の重病患者にも勧めることになったようです。

 筆者の経験からは、絶望的な状況にある人間に明るい小説を読ませるのは毒であるということとのようです古代ギリシャの哲学ではアリストテレスの「悲観論」とピュタゴラスの「楽観論」と分かれる由ですが、既に悲観的な状況にある者にとってはまず前者が寄り添い、回復する途上には後者が有益というのが筆者の結論です。この対比は西欧文学ではカフカゲーテということになります。

 「絶望状態」には必ずしも「絶望文学」だけではなく、精神的な糧としての芸術は重要です。ニューギニア水木しげるには、全てを無くした後でも「ゲーテとの対話」がなくてはいけませんでした。ナチス強制収容所にいたユダヤ人は「赤十字より古典を」と考えていました。大地震の後では、クラシック音楽のダウンロードが急増しました。筆者は豊富な実例をもとに「絶望状態」における精神の糧の重要性を語ります。

 この本は小品ですが、 「絶望読書」とは何かについての前半部、具体的な「絶望読書」のための本等が具体的に挙げられている後半部に分かれます。後半で取り上げられるのは、太宰、金子みすずドストエフスキーカフカ山田太一桂米朝向田邦子と、狭義の小説以外も含まれます。落語については、酒飲みの主人公が間違えて酒飲みの願人坊主を「火屋」で火葬しそうになるというブラックな作品が紹介され、落語は絶望を笑い飛ばすことができるコメディといった評価がなされていることが面白いです。あと、筆者は、「絶望」状態にある人が読んではいけない作品としてイタリア人作家ブッツアーティの「七階」を挙げています。これは、ホラー愛好者に読ませてみたいですね。 

ja.wikipedia.org

 結論として、この本は新たな読書に向けての一つの道標であり、窓口です。この本を読んで私は、この本に挙げられている本を読みたくなりました。山田太一作品が提示するように、日常にも「絶望」が潜み、蓄積していくのであれば、「普通」の人が「絶望読書」をしてもおかしくないと思います。この本を買うかということになると微妙です。小品であり、立ち読みでも、私のサマリーで大体のことは分かると思います。筆者の人柄にご興味があればどうぞというところです。私としては、筆者・頭木弘樹さんの講演などがあれば肉声を聞きたいところですね。 

 

3.それで、気になる本を買いました

 ふうううー。さて、これだけ本を読んだのです、買ったのは別の本です。 

菜根譚 (岩波文庫)

菜根譚 (岩波文庫)

 

  私の書架には中国古典がそれなりにありますが、改めて、今回速読した本の中に何回か言及されていたのが「菜根譚」です。解説本などもあるのですが、まずは原典をということで。 

 「速読図書館」は、今後、GWが終わったらペースが落ちるかもしれませんが、できるだけ継続していきたいと思います。ご参考になるところがあれば幸いです!

 拙ブログにお立ち寄りいただき、ありがとうございました